「エースはライブの打ち上げに行かないの?」
デパートの化粧品売り場で働いていそうな美女が、色っぽく唇の端をあげた。
「俺と二人きりになれなくていいんだ」
「打ち上げより私を優先してくれるなんて嬉しい」
「彼女だし」
――彼女。
エースさんの口から放たれた言葉に、胸が引きちぎられるような激痛に襲われる。
痛みの理由はわからない。
私はエースさんのことを好きなわけじゃない。
前回のライブで助けてもらっただけ。エースさんは私を助けるために彼女だとみんなの前で嘘をついただけ。
そんなことわかっているのに、敗北感のような醜い感情がこみあげてくる。
涙が止まらない。
何が悲しいのか自分でもわからない。
でも鼻頭がツーンとして、大粒の涙がひっきりなしにこぼれてきて。
綺麗な美女に笑いかけるエースさんが、柱から顔を出していた私を見つけて歩みを止めた。
仮面で目元は見えないが、驚いたように口を開けている。



