さよならの予告編 ~In that summer when I forgot you, drops of starlight fall~


水無瀬さんに一目惚れしてからというものの、私はコンビニによく通うようになった。

ストーカーじみた1か月間の調査を経て、私は水無瀬さんがバイトしている時間帯を突き止めることに成功した。

月曜日と水曜日の12時から15時、火曜日と木曜日の19時から21時、土日は9時から12時半。

その時間に合わせてコンビニに向かい、パンやサラダやお菓子、時には文具を買ったりしているのに「お支払いは現金ですね」「ありがとうございました」しか、水無瀬さんは私にくれない。

私の心の中で約3か月間したためた水無瀬さんへの想いは、決壊寸前だ。


「短歌は現代でいう『短編小説』のようなもので…」

腹の出た、中年の男性教授がスクリーンを指さしながらつまらない話を繰り広げる。

私はあくびを噛み殺し、机に置いていたスマホにさりげなく視線をやった。

今日は水曜日。授業が終わるのが12時ジャストなので、急いで自転車を漕いでコンビニに行けばきっと水無瀬さんに会えるだろう。

「告白しよっかなぁ、なんて…」

誰にも聞こえないようにそう小さくつぶやき、机に置いていたカフェオレのふたを開ける。

決意を固めるように、私はカフェオレをぐびっと大きくあおった。