「里奈ー、俺ちょっと手が離せないんだ。出てくれるか?」
悠作の声にはっとして、私はすぐに返事をする。
「あ……えぇ、分かったわ」
私はアルバムから手を離すと玄関の扉を開けた。途端にひゅっと自身の息を呑む音が聞こえた。
「こんにちは。隣に住んでいる杉原美穂子です」
「……そ……そんな……」
「あら、お隣さんが里奈さん御一家だなんて嬉しい。こんな偶然あるのね。また仲良くできそうで嬉しいわ」
白いワンピースに黒の薔薇のピアスをつけた美穂子がにんまりと笑う。そして彼女はぐっと距離をつめると、声の出ない私に耳打ちする。
「──ねぇ、思い出した? だってあなたはわたしのものだもの」
「……な、に……言ってる、の?」
「時間はたくさんあるんだから、あせらずゆっくりまたお話しましょう。二人っきりで」
口元に人差し指を当てながら、美穂子がニタリと笑う。そして後ろ手から紙袋を差し出した。
「これ。つまらないものですが」
彼女から強引に手渡された紙袋の中には、黒い薔薇の花と一緒にあの時の子供用のスウェットが入っている。
「……な、なんなの……、あなたは一体……」
「ふふっ……里奈さん、末永く宜しくね」
私は美穂子が隣の部屋に帰るのを見ながら、その場に崩れ落ちた。
悠作の声にはっとして、私はすぐに返事をする。
「あ……えぇ、分かったわ」
私はアルバムから手を離すと玄関の扉を開けた。途端にひゅっと自身の息を呑む音が聞こえた。
「こんにちは。隣に住んでいる杉原美穂子です」
「……そ……そんな……」
「あら、お隣さんが里奈さん御一家だなんて嬉しい。こんな偶然あるのね。また仲良くできそうで嬉しいわ」
白いワンピースに黒の薔薇のピアスをつけた美穂子がにんまりと笑う。そして彼女はぐっと距離をつめると、声の出ない私に耳打ちする。
「──ねぇ、思い出した? だってあなたはわたしのものだもの」
「……な、に……言ってる、の?」
「時間はたくさんあるんだから、あせらずゆっくりまたお話しましょう。二人っきりで」
口元に人差し指を当てながら、美穂子がニタリと笑う。そして後ろ手から紙袋を差し出した。
「これ。つまらないものですが」
彼女から強引に手渡された紙袋の中には、黒い薔薇の花と一緒にあの時の子供用のスウェットが入っている。
「……な、なんなの……、あなたは一体……」
「ふふっ……里奈さん、末永く宜しくね」
私は美穂子が隣の部屋に帰るのを見ながら、その場に崩れ落ちた。



