白い女

※※※

──二ヶ月後。


「里奈、この段ボール、寝室に持っていくな?」

「うん。運んだらそのなかのスーツをクローゼットにかけていってもらえない?」

「了解」

悠作に指示を出すと私は『食器類』と記載された段ボール箱を開封していく。

(こんな短期間にまた引っ越しすることになるなんて)

でも仕方なかった。とてもじゃないがあの家には住めない。

「ママー、僕の新しいお部屋って……窓際のお部屋で合ってる?」

「ええ、そうよ」

悠聖がリビング横にある子供部屋の窓をガラリと開けた。

「わぁ、三階だから景色いいね」

「そうね」

新しい住居は心機一転したくてマンションにした。社宅扱いで補助がでるので、割高だが駅から近く小学校の裏にあるこのマンションに決めた。


「ママは食器片付けてるから悠聖は教科書とか机に並べてね」

「はーい」

すぐに荷解きを始めた悠聖の小さな背中を見ながらほっとする。悠聖もあの日以来、美穂子の名前を出さなくなった。同じく悠作もだ。