白い女

目に飛び込んできたのは死亡の二文字だった。
パソコンの画面をスクロールさせながら、記事の全文に目を通す。

『東山街の沼田村で起こった悲惨な事件……礼和…◯月△日……トラック運転手の……飲酒運転による交通事故で、横断歩道を渡っていた……当時、八歳の杉原春人君と父親の杉原……が……により、死亡………』

夫は単身赴任だと話したのも、子供が入院中だと話したのも全部嘘だったのだ。

──ブーッブーッ

その時だった。パソコン横に置いていたスマホが震えて、ラインのメッセージが浮かびあがる。すぐに覗き込んで絶句した。

「な……なんでっ……」

スマホには美穂子からのメッセージが届いていた。


──『うちの主人と春人の事調べるなんて、どうして?』

私の背筋はピンと張り、座っていても足がカタカタと震えてきて力が入らない。

『何のことでしょうか』 

私は短く指先で返答する。

──ピロロロン、ピロロロン

「……っ!」

返答したと同時に、今度は鳴り響いたスマホの着信音に私の体がビクンと大きく震えた。

液晶に浮かんでいる名前は『杉原美穂子』。
私は震える指先でスワイプする。

「もし、もし……」

──「こんにちは、美穂子ですけど」

「な、何でしょうか?」

──「聞きたいことがあるなら直接聞いてくれればいいのに。お向かいさんなんだから。何から話せばいい? 家族のことかしら?』

その言葉に私は震えながら小さく唇を開いた。

「……お子さん…と旦那さん……」