オーウェンside
事態が収束したあと、遊戯室には奇妙な静けさが残っていた。
ティアナ嬢はミヤの隣に腰を下ろし、
熊のぬいぐるみの毛並みを整えてやっている。
「ねえ、もう大丈夫だからね」
それは、特別な言葉でも、力のこもった声でもない。
ただの、穏やかな一言。
ミヤは小さくうなずき、
ぎゅっとぬいぐるみを抱きしめた。
その様子を、周囲は黙って見ていた。
無意識のうちに背筋を正している自分に気づき、
小さく息を吐く。
(……あの状況で、剣を抜かずに収めた)
報告書に書けば、簡単な一行になる。
だが実際は、判断力、知識、精神力、そして覚悟――
どれが欠けても成立しない。
(しかも、初めての実践、だと……)
オーウェンの中で、
ただの伯爵令嬢という認識が、静かに書き換えられていく。
一方、ディラン殿下は何も言わず、
ティアナの立ち居振る舞いを見つめていた。
彼女は、誇らしげに胸を張ることもない。
功績を語ることもない。
ただ、「起きたこと」を受け止め、
次に必要な行動をしているだけだ。
(……器が違う)
剣を抜かなかったことよりも、
その選択を“当然”としている点に、
殿下は強い評価を置いていた。
「殿下」
小声で声をかける。
「彼女を……どう見ますか」
ディラン殿下は、視線を逸らさずに答えた。
「危ういほど、誠実だ」
それは、褒め言葉であり、
同時に警戒でもあった。
事態が収束したあと、遊戯室には奇妙な静けさが残っていた。
ティアナ嬢はミヤの隣に腰を下ろし、
熊のぬいぐるみの毛並みを整えてやっている。
「ねえ、もう大丈夫だからね」
それは、特別な言葉でも、力のこもった声でもない。
ただの、穏やかな一言。
ミヤは小さくうなずき、
ぎゅっとぬいぐるみを抱きしめた。
その様子を、周囲は黙って見ていた。
無意識のうちに背筋を正している自分に気づき、
小さく息を吐く。
(……あの状況で、剣を抜かずに収めた)
報告書に書けば、簡単な一行になる。
だが実際は、判断力、知識、精神力、そして覚悟――
どれが欠けても成立しない。
(しかも、初めての実践、だと……)
オーウェンの中で、
ただの伯爵令嬢という認識が、静かに書き換えられていく。
一方、ディラン殿下は何も言わず、
ティアナの立ち居振る舞いを見つめていた。
彼女は、誇らしげに胸を張ることもない。
功績を語ることもない。
ただ、「起きたこと」を受け止め、
次に必要な行動をしているだけだ。
(……器が違う)
剣を抜かなかったことよりも、
その選択を“当然”としている点に、
殿下は強い評価を置いていた。
「殿下」
小声で声をかける。
「彼女を……どう見ますか」
ディラン殿下は、視線を逸らさずに答えた。
「危ういほど、誠実だ」
それは、褒め言葉であり、
同時に警戒でもあった。
