夜明けが世界を染めるころ

「どうしたのかしら?少し話を聞いても?」
私が近寄ると、3人の第2騎士団員たちは顔を見合わせる。

「俺たちじゃあ、どうしようもないしな……」
「そうだな……」
「聞いていただけますか?ティアナお嬢様」

事情を聞くと、概要はこうだ。
父からマルクに頼んだ仕事で孤児院の場所を借り、炊き出しボランティアを行うこと。
しかし、マルクから提示された金額では、予定よりずっと少ない食事しか配布できないらしい。それを指摘したが、「上手くやれ」と無茶を言われたとのこと。

「中々の無茶振りだねー」
「そ、そうですよねー……はああ」
盛大なため息をつく3人。

「とりあえず、提供する食事メニューを教えてくれる?」

「は、はい!えっと……パンとシチューになりますね」

持っていた資料を見せてもらう。

「パンとシチューでこの金額になりますか?」
セナが後ろから資料をみる。


「市販の高級パンにシチュー。シチューの中身の材料が高いはね、えびやイカ、ホタテ高級食材をいれてる。
それはこの金額になるでしょう。これ考えたのだれ?」

分かってはいたがあえて聞いてみる。

「マルク様です。そこは私どもも引っかかったのですが、普段食べたこともないような高級なものを食べさせて、すごいと思わせてやろう!とおっしゃっていました」

「はあぁあ」
盛大にため息がでる。脳みそが足りてないと毒を吐きたくなる。

「え、アホなんですか?脳みそ入ってます?」
私の心の内をテオが代弁した。

「あの、さすがにそこまではダメですよ。思っても一応ラピスラズリ伯爵家の次期当主様の予定ですから」
コソっとテオに耳打ちする他の団員。

「まずはシチューの内容ね。えびやいか、ホタテは甲殻類アレルギーの人にとっては危険な食材ね。
子供の多い孤児院や不特定多数の方に配るのはやめた方がいい。
中身はじゃがいもやにんじん、玉ねぎとかに変えましょう。
食べ応えがあるように鶏肉も入れると出汁がきいて美味しいと思う」

私の言葉をメモする第2騎士団員。

「それと野菜は食べやすい大きさに。シチューに入れるから見た目が多少悪くても味が良ければいいと思う。
レオは畑もやってるし農家に知り合いがらいるから美味しい野菜を安く売ってもらえないか聞いてみましょう」

「はい!」
大きく返事をする。