夜明けが世界を染めるころ

少しだけ、休憩を取ることにした。

「お疲れ様です」

「ユウリ……ありがとう」

差し出されたグラスを受け取る。

「楽しそうでしたね」

「うん。今日はお咎めなし?」

「ええ。今日はそれほど堅苦しい場ではありませんし、
皆さん、思い思いに過ごされていますから」

「そうだね」

一息ついた、そのとき。

「では、お嬢様。
私とも踊っていただけますか?」

「珍しいね。ユウリが誘うなんて」

「皆さんに便乗しようかと」

「もちろん!」

そう言って、彼の手を取る。

さすがユウリだ。
私が次にどう動きたいかを察し、自然に導いてくれる。

「懐かしいね。
ユウリとも、よくダンスの練習をしたよね」

「はい」

「もう足は踏まないから、大丈夫だよ」

「それは頼もしいですね」

くすりと笑い合いながら、静かにステップを刻む。

「ねぇ、ユウリ」

「はい」

「ありがとうね。
ユウリがいてくれたから、自分の存在を受け入れられた。
……最後まで、戦えたの」

「いえ。私は大したことはしておりません」

「謙虚だなぁ」

「いえいえ」

少し間を置いて、私はもう一度口を開いた。

「ねぇ、ユウリ。
この先も、私のそばにいてくれる?」

迷いのない声が返る。

「あたり前ですよ。

私は、貴女の執事ですから。
ずっと、お傍におります」

「……ありがとう」

音楽は続き、光はやわらかく揺れている。

その中で私は、
変わらず隣にある温もりを、そっと確かめていた。