馬車の中で、私はルイの作ったドレスを素早く脱ぎ始めた。
「ここで脱ぐんですか?」
セナは淡々と声に出す。でも、指先がわずかに震んでいるのが目に入る。
「ここしかないでしょ!
せっかくルイが作ってくれたドレス、汚すわけにはいかないんだから」
「……そうですけど」
言葉は落ち着いている。しかし視線はせわしなく動き、わたしの手際の良さに焦りを隠せない。
「ほら、照れてないで。そこの服、取って」
「……わかりました」
一言ひとことは冷静だが、手はやや早まって服を差し出す。
「それに、下に着てるから大丈夫だよ?」
わたしはチラッと太ももを見せる。
「や、やめてください……!」
セナは声に出すときも落ち着いているように見える。しかし、手元がわずかに動揺し、さっと目線を外す。
「ほんと勘弁してください」
小さく息を吐きながらも、クールな顔は崩さない。
それでも、内心は焦っているのが手に取るようにわかる。
用意していた服に手際よく着替え、よし、と一息つくわたし。
「追ってきてる感じですね」
「……ええ」
淡々と答えるセナの声にはわずかな張りがあり、普段の冷静さが微かに揺れているのがわかる。
