さすがに、結構寝た。
身体も少し軽くなった気がする。
……ひまだな。
そんなことを考えていると、
窓をコン、コンと叩く音がした。
「……?」
カーテンを開けると――
「テオ?」
窓の外で、
ひらりと手を振るテオがいた。
「うん。
お嬢さま、調子どう?」
「だいぶいいよ」
「そっかー、よかった」
ほっとしたように、
柔らかく笑う。
「……それにしても、
なんで窓から?」
「あー、それね」
テオは肩をすくめてから、
少し声色を変える。
「テオ。お嬢様はお休み中です。
入ってはいけませんよ」
目尻をきゅっと吊り上げて、
ユウリの真似。
「……ふふっ」
思わず笑ってしまう。
「少し、似てる」
「でしょ?」
満足そうに頷くと、
テオは何かを差し出した。
「そうそう、これ」
窓越しに差し出されたのは、
小さな――四葉のクローバー。
「これ、
幸せになるってやつだよね。
前に教えてくれたでしょ?」
「……そうだね」
「だから」
そっと、手に乗せられる。
「あげる。
早く、よくなってね」
「ありがとう」
受け取って微笑むと、
テオが、少しだけ距離を詰めた。
そして――
私の手首を、軽く引く。
近い。
思った瞬間、
おでこに、こつんと触れる感触。
「あついね」
「……そうかも」
短い沈黙。
夕方の風が、
2人の間を通り抜ける。
「風邪ってさ」
テオが、ふっと声を落とす。
「うつすと、治るって聞いたことあるけど」
からかうように、
それでいてどこか真剣な色を帯びた目。
「……試してみる?」
ルビーの瞳が私を捉え色っぽく微笑むその顔に、
一瞬、言葉を失う。
近い。
息がかかるほど。
心臓が、
少しだけ、速くなる。
「……テオ、それは――」
言いかけた、その時。
「失礼します」
低く、きっぱりとした声。
はっとして振り向くと、
いつの間にか部屋の扉が開いていた。
「ユ、ユウリ……?」
テオも肩をびくっとさせ、
慌てて距離を取る。
「……テオ」
冷たい視線が、
真っ直ぐに突き刺さる。
「お嬢様は療養中です」
「接触は最小限に」
「窓からの侵入は論外」
淡々と、
しかし一切の逃げ道を残さない口調。
「やば…」
焦り出したテオ。
さっきまでの色気はどこへやら、
「……じゃ、また」
小さく手を振って、
そそくさと窓の外へ下がっていく。
完全に姿が見えなくなってから、
ユウリは静かにカーテンを閉めた。
「……お嬢様」
振り返る。
「熱が下がってきたからといって、
油断は禁物です」
「心拍数も、
不用意に上げないように」
……全部、見られてた。
「……すみません」
小さくそう言うと、
ユウリは一瞬だけ目を伏せてから、
「……いえ」
「ですが」
「殿下に知られたら、
もっと大事になりますので」
淡々と言いながら、
それでもどこか、
守るように立っている。
胸元で、
四葉のクローバーを握りしめる。
幸せになる、か。
……今日は、
いろんな意味で、刺激が多い日だ。
身体も少し軽くなった気がする。
……ひまだな。
そんなことを考えていると、
窓をコン、コンと叩く音がした。
「……?」
カーテンを開けると――
「テオ?」
窓の外で、
ひらりと手を振るテオがいた。
「うん。
お嬢さま、調子どう?」
「だいぶいいよ」
「そっかー、よかった」
ほっとしたように、
柔らかく笑う。
「……それにしても、
なんで窓から?」
「あー、それね」
テオは肩をすくめてから、
少し声色を変える。
「テオ。お嬢様はお休み中です。
入ってはいけませんよ」
目尻をきゅっと吊り上げて、
ユウリの真似。
「……ふふっ」
思わず笑ってしまう。
「少し、似てる」
「でしょ?」
満足そうに頷くと、
テオは何かを差し出した。
「そうそう、これ」
窓越しに差し出されたのは、
小さな――四葉のクローバー。
「これ、
幸せになるってやつだよね。
前に教えてくれたでしょ?」
「……そうだね」
「だから」
そっと、手に乗せられる。
「あげる。
早く、よくなってね」
「ありがとう」
受け取って微笑むと、
テオが、少しだけ距離を詰めた。
そして――
私の手首を、軽く引く。
近い。
思った瞬間、
おでこに、こつんと触れる感触。
「あついね」
「……そうかも」
短い沈黙。
夕方の風が、
2人の間を通り抜ける。
「風邪ってさ」
テオが、ふっと声を落とす。
「うつすと、治るって聞いたことあるけど」
からかうように、
それでいてどこか真剣な色を帯びた目。
「……試してみる?」
ルビーの瞳が私を捉え色っぽく微笑むその顔に、
一瞬、言葉を失う。
近い。
息がかかるほど。
心臓が、
少しだけ、速くなる。
「……テオ、それは――」
言いかけた、その時。
「失礼します」
低く、きっぱりとした声。
はっとして振り向くと、
いつの間にか部屋の扉が開いていた。
「ユ、ユウリ……?」
テオも肩をびくっとさせ、
慌てて距離を取る。
「……テオ」
冷たい視線が、
真っ直ぐに突き刺さる。
「お嬢様は療養中です」
「接触は最小限に」
「窓からの侵入は論外」
淡々と、
しかし一切の逃げ道を残さない口調。
「やば…」
焦り出したテオ。
さっきまでの色気はどこへやら、
「……じゃ、また」
小さく手を振って、
そそくさと窓の外へ下がっていく。
完全に姿が見えなくなってから、
ユウリは静かにカーテンを閉めた。
「……お嬢様」
振り返る。
「熱が下がってきたからといって、
油断は禁物です」
「心拍数も、
不用意に上げないように」
……全部、見られてた。
「……すみません」
小さくそう言うと、
ユウリは一瞬だけ目を伏せてから、
「……いえ」
「ですが」
「殿下に知られたら、
もっと大事になりますので」
淡々と言いながら、
それでもどこか、
守るように立っている。
胸元で、
四葉のクローバーを握りしめる。
幸せになる、か。
……今日は、
いろんな意味で、刺激が多い日だ。
