ティアナside
ナナとの話を終え、部屋へ戻る。
廊下を進みながら、
ふと先ほどの光景を思い出した。
……あの2人が一緒にいるのは、
やはり、どこか不思議な感じがする。
兄と殿下。
立場も、雰囲気も、
殿下の周囲にはいないはずの人種だ。
「お待たせしました」
そう声をかけると、
「ティアナ」
ディランが、
穏やかに私の名前を呼んだ。
その声音に、
胸の奥が、少しだけ落ち着く。
外から、馬車の音が聞こえてきた。
きっと、ディランが手配してくださったのだろう。
「そろそろ、帰ろうか」
「……そうですね」
短く頷く。
「では、ナナ。
今度は、お茶会で」
そう告げると、
ナナは一瞬きょとんとしたあと、
「はい」
と、嬉しそうに微笑んだ。
その様子を横目に、
兄が大げさに手を振る。
「はいはい、さっさと帰れ」
わざとらしく、
しっしっと追い払う仕草までつけて。
……本当に失礼な兄だ。
「では、失礼するよ」
ディランがそう言って、
自然な仕草で私を促す。
並んで歩き、
そのまま馬車へと乗り込んだ。
「さて……まさか、
貴重なデートがこんなことになるとはね」
ディランは、
少しだけ不満そうにそう言った。
「……そうですね」
思わず、苦笑いで返す。
するとディランは、
私の方へ視線を向けたまま、
穏やかな声で続けた。
「私は、もう少し君と一緒にいたいのだけど?」
どうかな、と。
わざとらしく小首をかしげる。
……ずるい。
その仕草に、
隠そうとしても色気が滲み出ていて、
視線の置き場に困る。
「す、少しだけなら……」
気づけば、
そんな言葉が口からこぼれていた。
それを聞いた瞬間、
ディランは満足したように微笑む。
「では、決まりだな」
そう言って、
ゆっくりと背を預ける。
ほどなくして、
馬車が静かに動き出した。
窓の外の景色が流れていく。
ナナとの話を終え、部屋へ戻る。
廊下を進みながら、
ふと先ほどの光景を思い出した。
……あの2人が一緒にいるのは、
やはり、どこか不思議な感じがする。
兄と殿下。
立場も、雰囲気も、
殿下の周囲にはいないはずの人種だ。
「お待たせしました」
そう声をかけると、
「ティアナ」
ディランが、
穏やかに私の名前を呼んだ。
その声音に、
胸の奥が、少しだけ落ち着く。
外から、馬車の音が聞こえてきた。
きっと、ディランが手配してくださったのだろう。
「そろそろ、帰ろうか」
「……そうですね」
短く頷く。
「では、ナナ。
今度は、お茶会で」
そう告げると、
ナナは一瞬きょとんとしたあと、
「はい」
と、嬉しそうに微笑んだ。
その様子を横目に、
兄が大げさに手を振る。
「はいはい、さっさと帰れ」
わざとらしく、
しっしっと追い払う仕草までつけて。
……本当に失礼な兄だ。
「では、失礼するよ」
ディランがそう言って、
自然な仕草で私を促す。
並んで歩き、
そのまま馬車へと乗り込んだ。
「さて……まさか、
貴重なデートがこんなことになるとはね」
ディランは、
少しだけ不満そうにそう言った。
「……そうですね」
思わず、苦笑いで返す。
するとディランは、
私の方へ視線を向けたまま、
穏やかな声で続けた。
「私は、もう少し君と一緒にいたいのだけど?」
どうかな、と。
わざとらしく小首をかしげる。
……ずるい。
その仕草に、
隠そうとしても色気が滲み出ていて、
視線の置き場に困る。
「す、少しだけなら……」
気づけば、
そんな言葉が口からこぼれていた。
それを聞いた瞬間、
ディランは満足したように微笑む。
「では、決まりだな」
そう言って、
ゆっくりと背を預ける。
ほどなくして、
馬車が静かに動き出した。
窓の外の景色が流れていく。
