夜明けが世界を染めるころ

「……私はそこまで戦力になるかはわかりませんが」

控えめながら、はっきりとした声でアリスが口を開く。

「できることがあれば、何でもします。
みなさまの衣・食・住――そのすべてを担当しましょう」

一瞬、場が静まる。

それから私は、思わず微笑んだ。

「ありがとう。
まさか……アリスまでいるとは思わなかった」

その言葉に、アリスは少しだけ背筋を伸ばす。

「私は、お嬢様の侍女です」

迷いのない瞳で、私を見つめる。

「お嬢様の支えになります。
戦場ではそこまでお役に立てなくとも、背後を守ることはできますから」

その言葉が、胸に深く沁みた。

剣を振るう者だけが、戦っているわけじゃない。
命を繋ぎ、日常を保ち、心を折れさせない――
それもまた、戦いだ。

ディランが静かに頷く。

「ありがたい。後方支援が安定すれば、前線は迷いなく動ける」

ルイが笑顔で言う。
「これは心強いわね。ちゃんとしたご飯がある戦いは、勝てるって決まってるもの」

場に、わずかな笑いが広がる。

私はアリスを見る。

「……一人じゃないって、こういうことなんだね」

アリスは、いつものように穏やかに微笑んだ。

「はい、お嬢様。
最初から、ずっと」

前線も、後方も。
誰一人欠けてはいけない仲間。

こうして、役割はすべて揃った。

戦う理由も、立場も、過去も違う。
それでも今は、同じ未来を守るためにここにいる。

私は胸の奥で静かに思う。

(――こんな仲間がいるなら)
(きっと、どんな闇にも立ち向かえる)

誰1人かけることなく…絶対明るい未来に大切な人達と立つために。