ティアナ side
朝食を取りながら、新聞を広げる。
――リチャード・ファイアオパール、違法に闇カジノを経営。複数の被害者あり。
大きく載せられた見出しに、思わず目を細めた。
……早い。
想像以上に。
そして、新聞とは別に届いていた一通の手紙。
殿下からのものだ。
内容は簡潔で、慎重に選ばれた言葉ばかりだったが、
《魔女の雫》が関わっていたことを、遠回しに示唆していた。
世間には、この件は公表しないようだ。
まあ、証拠が完全に揃っていない状態で出せば、
混乱を招くだけだろう。
それに――
オパール公爵家は、魔女の雫を利用して武器を製作している。
問題は、リチャード一人では終わらない。
いずれは“上”を叩く必要がある。
「……殿下、仕事が早いですね」
ユウリがおかわりの紅茶を注ぎながら口を開いた。
「ほんと。敵に回したくない」
そう呟く私に、
「味方であれば、大変心強いのでは?」
ユウリが告げる。
「いや、どうだろう……」
カップを持つ手を止める。
「なんだか、弱みを握られそうで嫌だわ」
「お嬢様の弱みは、もう握られていますよ」
ユウリが涼しい顔で言い放つ。
「お酒を飲んで、醜態を晒した件です」
「言わないで……」
思わず頭を抱える。
あれは、なかったことにしたい。
切実に。
「でも」
ユウリは紅茶を置き、少しだけ真面目な表情になる。
「殿下は、お嬢様に関わる件については、随分と容赦がありませんね」
その言葉に、胸の奥がわずかにざわつく。
……確かに。
リチャードの件。
あまりにも、手際が良すぎる。
「偶然よ」
自分に言い聞かせるように、そう返した。
それよりもう一枚手紙が入っている。
◯日14時、お迎えに参ります。
盟約について、改めて話をさせてください。
ディラン
「盟約ですか…」
ユウリが呟く。
「ええ、婚約にあたって条件をいくつか詰めるのよ」
「そうですか」
ユウリはそれ以上何も言わなかった。
朝食を取りながら、新聞を広げる。
――リチャード・ファイアオパール、違法に闇カジノを経営。複数の被害者あり。
大きく載せられた見出しに、思わず目を細めた。
……早い。
想像以上に。
そして、新聞とは別に届いていた一通の手紙。
殿下からのものだ。
内容は簡潔で、慎重に選ばれた言葉ばかりだったが、
《魔女の雫》が関わっていたことを、遠回しに示唆していた。
世間には、この件は公表しないようだ。
まあ、証拠が完全に揃っていない状態で出せば、
混乱を招くだけだろう。
それに――
オパール公爵家は、魔女の雫を利用して武器を製作している。
問題は、リチャード一人では終わらない。
いずれは“上”を叩く必要がある。
「……殿下、仕事が早いですね」
ユウリがおかわりの紅茶を注ぎながら口を開いた。
「ほんと。敵に回したくない」
そう呟く私に、
「味方であれば、大変心強いのでは?」
ユウリが告げる。
「いや、どうだろう……」
カップを持つ手を止める。
「なんだか、弱みを握られそうで嫌だわ」
「お嬢様の弱みは、もう握られていますよ」
ユウリが涼しい顔で言い放つ。
「お酒を飲んで、醜態を晒した件です」
「言わないで……」
思わず頭を抱える。
あれは、なかったことにしたい。
切実に。
「でも」
ユウリは紅茶を置き、少しだけ真面目な表情になる。
「殿下は、お嬢様に関わる件については、随分と容赦がありませんね」
その言葉に、胸の奥がわずかにざわつく。
……確かに。
リチャードの件。
あまりにも、手際が良すぎる。
「偶然よ」
自分に言い聞かせるように、そう返した。
それよりもう一枚手紙が入っている。
◯日14時、お迎えに参ります。
盟約について、改めて話をさせてください。
ディラン
「盟約ですか…」
ユウリが呟く。
「ええ、婚約にあたって条件をいくつか詰めるのよ」
「そうですか」
ユウリはそれ以上何も言わなかった。
