「とても爽やかなコーデですね、お顔が伴っていませんが」
そう言われた私は相当憂鬱な顔をしているのだろう。
はぁ。気を引き締めないと。
スッと顔を作ってニコリと微笑む。
「さあ、行きましょうか。朝食会」
「さすがお嬢様。切り替えが素晴らしいです」
ユウリがサラッと褒める。
姿勢を正し朝食会のある部屋に向かう。
コーラルオレンジのくせのある髪が、扉の前で大きく跳ねていた。
近づくにつれ、その正体が見えてくる。
白いコック服に身を包み、
腰にはエプロン、腕まくりされた袖からは健康的な腕が覗いていた。
レオだ。
くせのある髪は無造作に跳ね、
陽だまりのような色合いがやけに場を明るくしている。
黄緑色の瞳がぱっと輝いた。
「あ、お嬢さーん!」
ブンブンと効果音がつきそうなぐらい豪快な手の振り方に笑みをこぼしながら手を振り返し、声をかける。
「おはよう、レオ。今日の朝食楽しみにしてるね」
「もちろんですよ!お嬢さんの好きなもの用意してますからね」
ニカッと快活な笑顔を向ける。
彼は私の専属の料理人。元々平民で騎士団出身だったが私がスカウトして料理人となった。本来であれば平民が貴族の料理人になることはないのだか、彼を気に入った私が周りを巻き込み何とか引き入れたのだ。
そのため、彼のことをはじめはよく思わないものもいたが料理の腕前は確かなので、当主 アドルフにも気に入られ、1ヶ月に一度の朝食会はこのレオが担当となっている。
「ありがとう、レオの朝食があるから頑張れるよ」
「そう言ってもらえて嬉しいです!あ、お嬢さん、もう当主様は席にいますのでどうぞ」
「ありがとう」
ふーっと一息つきコンコンとノックをする。
「…入れ」
低く重たい声がはっきりと聞こえる。
扉の奥からでもその主の威圧感を感じられる。
憂鬱な朝食会のはじまりだ。
