ディラン side
さて――可愛い私の婚約者から、どうにか信用を得なければならない。
「随分とご機嫌ですね」
向かいに座るレイが、呆れたように口を開く。
「当然だろう?」
彼女を味方につけることには、大いに意味がある。
いや、意味どころか――必要不可欠だ。
「ティアナ嬢が気の毒ですね」
「主人に対して失礼だな」
思わず眉をひそめる。
レイはどうにも、私への敬意が足りない。
「それよりも」
レイは軽く咳払いをして、話題を切り替えた。
「紅輝オパール公爵家次男、リチャード・ファイアオパールですが。
世間知らずな令嬢を騙し、闇カジノへ介入させているようです」
「……続けろ」
「頃合いを見て“バラされたくなければ”と脅し、金銭、または身体的関係を要求。
令嬢を操るために、《魔女の雫》を使い、判断力を鈍らせていると見られます」
「どうしようもないクズだな」
思わず吐き捨てる。
「それがティアナ嬢に近づこうなど――虫唾が走る」
「それは激しく同意します」
珍しく、レイの声に感情が滲んだ。
「それで、《魔女の雫》の入手経路は?」
「ファイアオパール公爵家です。
ガイルの指示のもと製作されている“武器”に使用されているものを、横流ししたのでしょう」
……やはり、そこに繋がるか。
「王命を盾に、違法行為。
しかも貴族の令嬢を餌にするとは、救いようがない」
私は指先で机を軽く叩く。
「ティアナ嬢に被害は?」
「今のところ、直接的な被害は確認されていません。ただ――」
レイは一瞬、言葉を選んだ。
「接触を試みている形跡があります」
「……そうか」
胸の奥に、冷たいものが落ちた。
彼女は、まだ何も知らない。
私が何を抱え、何と戦おうとしているのかも。
「なら尚更だ」
私は立ち上がる。
「リチャード・ファイアオパールは、私が潰す」
「正面からですか?」
「まさか。
“婚約者”を守る立場として、最も合法的で、最も逃げ道のない形でな」
レイは小さく息を吐いた。
「……本当に、ティアナ嬢を大切にするおつもりで?」
その問いに、私は一瞬だけ言葉を失う。
嘘なら、いくらでも言える。
だが――
「少なくとも」
私は窓の外を見やる。
「彼女を利用するつもりはない。
それだけは、本当だ」
信用されるには、まだ遠い。
だが、守ることなら今すぐできる。
可愛い私の婚約者が、
この国の腐臭に触れる前に――。
さて――可愛い私の婚約者から、どうにか信用を得なければならない。
「随分とご機嫌ですね」
向かいに座るレイが、呆れたように口を開く。
「当然だろう?」
彼女を味方につけることには、大いに意味がある。
いや、意味どころか――必要不可欠だ。
「ティアナ嬢が気の毒ですね」
「主人に対して失礼だな」
思わず眉をひそめる。
レイはどうにも、私への敬意が足りない。
「それよりも」
レイは軽く咳払いをして、話題を切り替えた。
「紅輝オパール公爵家次男、リチャード・ファイアオパールですが。
世間知らずな令嬢を騙し、闇カジノへ介入させているようです」
「……続けろ」
「頃合いを見て“バラされたくなければ”と脅し、金銭、または身体的関係を要求。
令嬢を操るために、《魔女の雫》を使い、判断力を鈍らせていると見られます」
「どうしようもないクズだな」
思わず吐き捨てる。
「それがティアナ嬢に近づこうなど――虫唾が走る」
「それは激しく同意します」
珍しく、レイの声に感情が滲んだ。
「それで、《魔女の雫》の入手経路は?」
「ファイアオパール公爵家です。
ガイルの指示のもと製作されている“武器”に使用されているものを、横流ししたのでしょう」
……やはり、そこに繋がるか。
「王命を盾に、違法行為。
しかも貴族の令嬢を餌にするとは、救いようがない」
私は指先で机を軽く叩く。
「ティアナ嬢に被害は?」
「今のところ、直接的な被害は確認されていません。ただ――」
レイは一瞬、言葉を選んだ。
「接触を試みている形跡があります」
「……そうか」
胸の奥に、冷たいものが落ちた。
彼女は、まだ何も知らない。
私が何を抱え、何と戦おうとしているのかも。
「なら尚更だ」
私は立ち上がる。
「リチャード・ファイアオパールは、私が潰す」
「正面からですか?」
「まさか。
“婚約者”を守る立場として、最も合法的で、最も逃げ道のない形でな」
レイは小さく息を吐いた。
「……本当に、ティアナ嬢を大切にするおつもりで?」
その問いに、私は一瞬だけ言葉を失う。
嘘なら、いくらでも言える。
だが――
「少なくとも」
私は窓の外を見やる。
「彼女を利用するつもりはない。
それだけは、本当だ」
信用されるには、まだ遠い。
だが、守ることなら今すぐできる。
可愛い私の婚約者が、
この国の腐臭に触れる前に――。
