「何言ってるの? あいつ処す処す?」
「そうですね、処します?」
テオとアレンが小声で物騒な相談をしている。
「やめなさい。この国の第一王子ですよ。処されるのは我々の方になります」
ユウリが即座に制止する。
「そんなことしないよ。ティアナ嬢の大切な騎士達だ」
殿下が苦笑しながら言った。
その瞬間だった。
――セナが、一歩前に出た。
表情はいつもと変わらない。
声も出さない。
だが、彼の肩がわずかに強張り、無意識に剣の柄に指がかかっているのを、私は見逃さなかった。
(……動揺してる)
珍しい。
セナが、感情を隠しきれていない。
周囲は完全に阿鼻叫喚だった。
「はぁ!? 結婚!?」
「殿下って今そんなノリなの!?」
「お嬢様が!? え!? ええ!?」
ロベルトが頭を抱え、アレンは「ちょ、ちょっと待ってください情報量が多いです!」と半泣き。
テオは完全にキレかけている。
「お嬢様に手を出すとか正気ですか!?」
「俺達許さないからな!?」
騎士団員達がわらわらと騒いでいる。
その騒ぎの中心で、セナだけは黙ったまま殿下を見ていた。
静かで、冷たい視線。
まるで一手間違えれば、本気で斬りかねない空気だ。
……これは、放っておくとまずい。
「あの! ちょっと待ってください」
私の声で、ようやく視線が集まる。
「とりあえず」
殿下を見る。
「2人で話しましょう」
殿下は一瞬、セナに視線をやり、
それから穏やかに頷いた。
「いいとも」
ユウリが即座に動く。
「お嬢様、こちらへ。人目のない場所へご案内します」
騒ぎを背に、私は歩き出す。
すれ違いざま、セナと一瞬だけ視線が合った。
――心配。
怒り。
そして、抑え込んだ焦り。
全部、そこにあった。
(あとでちゃんと話そうね、セナ)
鮮やかなバラが咲くガーデンへ向かう。
一度殿下と別れ、
私はアリスに手伝ってもらって紺色のドレスに着替える。
髪を下ろし、バレッタを留める。
……少しくらい待たせても、いいでしょう。
「そうですね、処します?」
テオとアレンが小声で物騒な相談をしている。
「やめなさい。この国の第一王子ですよ。処されるのは我々の方になります」
ユウリが即座に制止する。
「そんなことしないよ。ティアナ嬢の大切な騎士達だ」
殿下が苦笑しながら言った。
その瞬間だった。
――セナが、一歩前に出た。
表情はいつもと変わらない。
声も出さない。
だが、彼の肩がわずかに強張り、無意識に剣の柄に指がかかっているのを、私は見逃さなかった。
(……動揺してる)
珍しい。
セナが、感情を隠しきれていない。
周囲は完全に阿鼻叫喚だった。
「はぁ!? 結婚!?」
「殿下って今そんなノリなの!?」
「お嬢様が!? え!? ええ!?」
ロベルトが頭を抱え、アレンは「ちょ、ちょっと待ってください情報量が多いです!」と半泣き。
テオは完全にキレかけている。
「お嬢様に手を出すとか正気ですか!?」
「俺達許さないからな!?」
騎士団員達がわらわらと騒いでいる。
その騒ぎの中心で、セナだけは黙ったまま殿下を見ていた。
静かで、冷たい視線。
まるで一手間違えれば、本気で斬りかねない空気だ。
……これは、放っておくとまずい。
「あの! ちょっと待ってください」
私の声で、ようやく視線が集まる。
「とりあえず」
殿下を見る。
「2人で話しましょう」
殿下は一瞬、セナに視線をやり、
それから穏やかに頷いた。
「いいとも」
ユウリが即座に動く。
「お嬢様、こちらへ。人目のない場所へご案内します」
騒ぎを背に、私は歩き出す。
すれ違いざま、セナと一瞬だけ視線が合った。
――心配。
怒り。
そして、抑え込んだ焦り。
全部、そこにあった。
(あとでちゃんと話そうね、セナ)
鮮やかなバラが咲くガーデンへ向かう。
一度殿下と別れ、
私はアリスに手伝ってもらって紺色のドレスに着替える。
髪を下ろし、バレッタを留める。
……少しくらい待たせても、いいでしょう。
