夜明けが世界を染めるころ

魔宝石適正判定を受けるかどうかは、強制ではなく任意である。

王国騎士団の入団試験においては必須の検査項目だが、
国民すべてが受ける必要はない。

そもそも、適性が確認されたからといって、
その全員が騎士団へ進むわけではないのだから。

稀ではあるが――
騎士団とは異なる立場で、宝石に選ばれる者も存在する。

彼らは戦場に立つ騎士ではなく、
側近、侍女、執事、補佐官、研究補助官といった役目に就く者たちだ。

主を守る剣ではなく、
主を支えるための力として、宝石の適性を授かる。

そうした者の宝石は、
攻撃性よりも補助性や調律性に特化することが多い。

結界の維持。
魔力の制御。
精神の安定。
情報の伝達。

戦闘に直接用いられずとも、
それらは王国の運営に欠かせぬ力であり、
確かにこの国を支えている。

ただし――
そこには、厳格な条件が課せられる。

魔宝石適性を持ちながら騎士団に属さない者は、
必ず伯爵家、あるいは公爵家の管理下に置かれる。

個人の意思で力を振るうことは許されず、
登録、監督、定期検査を受ける義務が生じる。

それは、保護であると同時に――
拘束でもあった。

宝石の力は、あまりにも強い。

無秩序に扱えば、
人も、街も、国でさえも、容易く壊してしまう。

だから王国は、
こうした原則を定めている。

「力を持つ者を、力だけで生かしてはならない」と。

騎士であれ。
側近であれ。
侍女であれ、執事であれ。

宝石に選ばれた瞬間から、
その者はもはや“ただの民”ではなくなる。

守られる代わりに、
守る責務を背負う。

立場や役割は違えど、
等しく王国の秩序の一部として生きることを求められるのだ。

だから私は思う。

王国騎士団に入ることよりも、
宝石に選ばれることそのものが――

すでに、運命なのだと。

……私自身も、そうであるように。