夜明けが世界を染めるころ

ティアナside
13日
再び、蝶の会の日を迎えた。

湖畔でのピクニック以来、彼と顔を合わせることになる。
あのとき私は、サーフェスの正体に気づき――
そして酔った勢いとはいえ、それを本人に告げてしまった。

軽率だったという自覚はある。
はぐらかされはしたが、追い詰めれば彼は認めた。

だからこそ、曖昧なままにはしておけない。

あの夜に持ち上がった「共闘」という話。
それを現実のものとするなら、条件も目的も、はっきりさせる必要がある。

そう判断し、私はユウリとセナを伴って、再び蝶の会へと足を踏み入れた。

会場の入り口で、思わず足が止まる。
深夜の空気の中、街灯の影が湖畔へ長く伸びていた。

「お嬢様。準備はよろしいですか?」

セナの問いに、私はゆっくりと頷く。

「ええ。いきましょう」

まずはサーフェスに会う。
話をしなければならない。

共闘の条件。
確認すべき情報。
そして、まだ掴み切れていない“何か”。

胸の奥で、言葉にならない違和感が燻っていた。

そのとき、ふと隣を見る。

「……ユウリ、少し変かも?」

仮面に隠れて表情は分からない。
けれど、手袋の端に込められた僅かな力が、妙に目についた。

ほんの小さな違和感。
それでも胸の奥が、わずかにざわつく。

「……でも、今は集中」

静かに自分へ言い聞かせる。

会場に入り、共闘の話を詰めるまでは、心を乱す余地はない。

ユウリは足を止め、肩越しに私の位置を確かめる。
その仮面の奥の瞳は冷静――だが、どこかいつもより鋭さを帯びていた。

私は無意識に彼との距離を詰めながら、意識を前へ向ける。

まずは共闘の話を、確実に。

そう心に定め、深く息を吸い込む。

夜の闇と危険の気配の中、
私は静かに蝶の会の会場へと歩み出した。