夜明けが世界を染めるころ

「さて――残るはデホラだ」

「動きますか?」

「ああ」

静かに、だが確信を持って告げる。

「餌はもう撒いた。
ああいう男は、不安と恐怖が膨らめば必ず動く」

窓の外で雷鳴が響いた。

「今夜にでも、のこのこ這い出てくるだろう」

私は立ち上がり、レイに視線を向ける。

「一階北側の窓を、少しだけ開けておいてくれ」

「……侵入経路を与える、と」

「そう」

薄く笑う。

「害虫駆除には、逃げ道が必要だからね」

レイは一礼する。

「承知しました」

嵐の夜。
闇に紛れて動く者と、闇を待っていた者。

今夜は、長くなりそうだ。