夜明けが世界を染めるころ

「なんだか、少し不公平ですね」

正直な感想を口にする。

「まあ、そりゃあな。でも貴族出身と平民出身じゃ、差があるのは仕方ない」

ロベルト先輩は頬をかきながら、苦笑した。

「第1騎士団は、10年以上の経験を積んだベテラン揃いだ。
だから強いし、統率も完璧だ」

「一方で第2騎士団は若手中心だけど、貴族出身のエリート集団だからな。
ちゃんと剣術教育を受けてるやつがほとんどで、あれはあれで相当強い」

ロベルト先輩は指を折りながら続ける。

「セナ副団長の実力なら、第2騎士団の連中の大半には勝てるだろうけど……」

「きついのは、やっぱりオリバー団長相手だろうな」

「第3騎士団のルーク団長も相当強いし、
その3人の実力は、ほぼ同じくらいじゃないか?」

「テオもいい線はいくと思うけどな」

最後に、ロベルト先輩は肩をすくめた。

「まあ、実際に試合してみないと分からないけどな」

「なるほど……そうなんですね」

頷いてから、ふと思い出した疑問を口にする。

「あと、もう2ついいですか?」

「お、いいぞ。何でも聞け」

「このフィナンシェを作ってくれたレオさんって、
元騎士団員って本当ですか?」

以前、セナ副団長と同期だった、という話を耳にしたのだ。

「あー、レオさんな! あの人は……やばい」

周囲の団員たちも、次々に頷く。

「“狂乱の金獅子”って呼ばれてたよな」

「剣を持つと性格が変わってさ。
そりゃもう、恐ろしい剣捌きで……」

「当時は、あのセナ副団長ですら勝てなかったからな」

「そ、そんなにすごい人なんですね……」

あんなに陽気で気さくな人からは、まったく想像がつかない。

「だからお前、絶対に食べ物を粗末にするなよ。マジで」

「実際、殺されかけたやつを俺は知ってるからな」

先輩たちに念を押され、思わず背筋が伸びる。

「は、はい!!」

第3騎士団の人たちは気さくで、いい人ばかりだ。

――俺も、先輩たちに負けないように頑張らなくては。

「で、あともう1つって何だ?」

“2つある”と言ったことを覚えていてくれたらしく、
ロベルト先輩がそう問いかけてきた。