夜明けが世界を染めるころ

「あの、これって面接ですか?」

オリバー団長が少し身を縮こませ、こちらを見つめる。

「あ、ごめんなさい。一応お見合いということで」

「結婚相手をお探しというのは本当なんですか?」

「急いではいないけど、一応形だけね」

すると、目の前のオリバー団長の表情があからさまにほっとしたものに変わる。

「なんだ、そうでしたか。
てっきり本気で探しているのかと思ってました。
俺には荷が重いので、その言葉を聞いて安心しました」

「なんかわからないけど、私フラれたのかな?」

「そのようですね」

「いや、そういう意味じゃないです!!」

慌てて弁解する。

「そうだ、お見合いだし、仕事の話ばかりしてしまった。
一応、趣味とか聞いておいたほうがいいかな?」

ユウリをチラッと見ると、メガネをわざとらしくクイッと上げている。
――楽しんでるなー。

「そうですね。オリバー団長、ご趣味はありますか?」

「筋肥大です!」

――私と話し始めて、今日1番の笑顔で答えた。


つ、疲れたー。

この1週間で、ユウリが選んだお見合い候補者10人ほどと一応会ってみたけれど、
どの人も自慢話や興味のない話ばかりで、退屈極まりない時間だった。

あのリチャード・ファイアオパールともお見合いした。
確かに褒めてはくれたのだろうけど、心に響くものは一つもなく、うっすぺらい印象だけが残った。
多分、彼は私のことを本当に好きなわけじゃない。
となると……伯爵家当主の座を狙っているのかもしれない。

でも、結婚する気はないし、それは相手にも失礼だよな。
父にも言われているから、形だけでも探しているフリはしないと。

それより、蝶の会での断片的な記憶にでできたアイリス…
その真相についてもまだ調べられていない。
ユウリも少し手間取っているようだし、やっぱり父が何かを隠しているのだろうか。


もし誰か知っているとすれば……ナタリーさんくらいだろうか。
でもナタリーさんはもう高齢で、物忘れもひどく、施設に入っていると聞いた。

何か知っていたらいいけれど……。
しばらく会いに行けていないし、一度会いに行ってみよう。