夜明けが世界を染めるころ

ユウリがセッティングしたお見合いの場に座る。

「はじめまして、よろしくお願い致します」

「いや、はじめましてじゃないですよね」

目の前の人物は、接点は少ないが知っている。

「そうでした、緊張してしまって……。
自己紹介します。第2騎士団 団長、オリバーです。
この前の孤児院のボランティアでは大変お世話になりました。お礼が遅くなり申し訳ありません」

「いえ、こちらこそ。
マルクの無茶振りに、いつも付き合わされてご苦労様です」

「ええ、それは……はい」

特に否定もせず、少し苦笑する様子から、相当苦労しているのだろうと察する。

目の前の彼は、がっしりとした体格で健康的な小麦色の肌に短髪。
見た目からは頼もしさが漂うが、意外にも柔らかく、丁寧な口調で話す。
この前のボランティアには遠征で不在だったようだが、内容は大方把握しているのだろう。

「オリバー団長は、子爵家でしたね。
ご実家は武器の製作に携わっているとか」

私の後ろに立つユウリが資料を見ながら話す。
珍しくメガネをかけて、クイッと持ち上げる。……あれ、ダテ眼鏡だよな?

「ええ。うちは騎士団の新人には、家で製作した剣を安くを提供しています。
初めのうちはお金がないですから」

「それは、第3騎士団に対してもですか?」

直接聞いてみたかったことだ。
調べた内容では知っていたが、本人の口から聞くのは別だ。

「もちろんです。平民や市民の出身だからといって、区別はしません。
同じ騎士団員であることに変わりはありませんから。

ただ、まだうちの団員は貴族出身が多いので、それを快く思わない者もいます。
ですが、この前のボランティアで第3騎士団の方々が手伝ってくれたことで、だいぶ見方が変わってきており、私はそれを良い傾向だと思っています」

オリバー団長の言葉には、きちんと理屈と信念がある。
見た目のがたいと優しい口調からは想像できないほど、誠実で現実的な人物のようだ。


「そう。一部といったけど、第3騎士団騎士団をあまりよく思っていないのは、エリック副団長が一番かしら?」

エリック副団長は子爵家の出で、ラピスラズリ家とも根強い繋がりがある。
そして、結構な貴族主義者だ。

「そうですね。多額の支援金を騎士団に提供しているのも、彼の家ですからね」

「オリバー団長から見て、エリック副団長はどんな人物ですか?」

「そうですね。第3騎士団への偏見や多少偏った考え方はありますが、根は真面目で、任務や訓練にも一生懸命です。
自分にも厳しいですが、他人にも厳しいところがあって、少し揉めることはありますけどね」

「そっか……なるほど。ありがとう」

このエリック副団長をうまく動かせれば、第2騎士団と第3騎士団のわだかまりも少しは解消できるかもしれない。
頭の片隅で、具体的な策を考え始める。