夜明けが世界を染めるころ

どの宝石も天然もので、間違いなく本物だ。
カットも丁寧だし、どの角度からみても素晴らしい輝き。


「素晴らしい宝石ですね」

「あ、ありがとうございます」

「それで相談というのは…値段のことでしょうか」

「はい、この本物の宝石を市場に出すとなるとこのぐらいの値段になってしまいます」

メモにかかれていた金額をみる。


「この宝石の価値としては妥当ですが…いま 市場に出そうとしているのは市民の方向けですよね?」

「は、はい」

この値段では到底市民が買える金額ではない。


「さすがにこの値段では難しいですね」

後ろに控えていたらセナも口を開く。


「しかし、本物を市民の方にも手に取ってもらいたいと思ったら、金額もこれがギリギリでして…」


困ったように額をかく。
他の職人達もそれぞれ頷いている。

「だったら…宝石の大きさを半分以下にしましょう」


「は、半分以下ですか?そうするこの宝石のよさである豪華さや輝きは劣ります」

「確かに他のものと比べれば大きさで見劣りするかもしれません。ですがそれは誰と比べてでしょうか?
貴族達の間では大きさや精巧さを比べることがあると思います。
しかしこれは市民の方向けで販売となると、他者と比較することはそこまで重要ではないですよね」

そう、貴族向けとなればどなればそのドレスの華やかさ、宝石の大きさや希少価値を比べるのはよくある事でそれで家柄の価値が決まることもある。


「確かにそうですね」
ふむっと唸る。

「もう一度考えて下さい、誰に向けて販売したいのかそれを誰が何のために買うのかそこを履き違えればうまく行きません。
私は、市民の方にも本物を手に取って、素敵なものを身につけてもらいたい。
皆さんは違いますか?」

私の言葉を重く受け止めたのか少し沈黙が続いたあと口を開く。