夜明けが世界を染めるころ


蝶の会のあと、馬車の中でユウリから情報を受け取ったが大した成果は得られていないようだった。

私は、どこからどこまで話すか悩んだ挙句…
曖昧にしたまま屋敷に戻ってきた。

そのことについてユウリもセナも無理に聞き出そうとはしなかった。

考えることは多いけれど、やらなければいけない仕事もある。
ここ数日は無我夢中で仕事をこなしてきた。
今日は市民向けのジュエリーの試作を持ってくるはず。そろそろかな。

「お嬢様、失礼します。ラルクル商会の方が応接室にいらっしゃっています」

ユウリが入ってきた。

「わかったわ。今行く」

立ち上がろうとしたとき、少しふらついた。
ユウリがじっとこちらを見つめている。

「お嬢様、ちゃんと休まれていますか?」

「うん、休んでるよ。ちょっと運動不足なだけ」

ここ数日、騎士団には顔を出せていない。
ユウリは何か言いたげだったが、私がスタスタ歩き出すと、何も言わずについてきた。


「ラルクル商会の皆様、わざわざご足労いただきありがとうございます」

挨拶をして応接室の椅子に腰をかける。

「いえ、こちらこそお時間を作っていただきましてありがとうございます」
一礼して返す。

「どうぞ座ってください。早速、見せていただいてもよろしいですか?」

そう言うと、商会の方は持ってきた荷物の中からジュエリーの試作品を並べた。

「お嬢様のお言葉に従い、品質はそのままに、小ぶりの宝石を使ってジュエリーを作成しました」

ネックレスにイヤリング、指輪――どれも上品に輝いている。

「ユウリ」

「はい、お嬢様」

ユウリから手袋を受け取り、慎重にジュエリーを確認していく。
小ぶりの宝石でも、品質が良いため輝きは上品で美しい。

「どれも素敵ね。良い出来だわ」

「ありがとうございます」

「値段はどのくらいで出す予定ですか?」
一番気になっていた点を、思わず口に出してしまう。