夜明けが世界を染めるころ


「“天然と誤認させない”形で売るなら話は別ですよ。
装飾用、もしくは若年層向けに価格を抑えて出すべきですね。
くれぐれも悪意のある売り方は辞めてくださいね。
ラピスラズリ家の品位を下げることになりますので、その場合はそれ相応の対応を取らせていただきますので肝に銘じてくださいね」

穏やかに話をしつつ、鋭い視線を向ける。
店主は深く頭を下げた。

「……勉強になりました」

店を出たあと、ふっーと息を吐く。



「さすがです。お嬢様」

セナが声をかける。

「ありがとう、でも舐められたものね」

「そうですね、ラピスラズリ家から投資を受けているにも関わらずあの値段と品質でうろうとしていたとは…」

「今回の件で懲りてくれればいいけどね、まあ、店主が変わったばかりだから今回は大目にみるけどね」

とりあえず父にはあとで報告しておこう。
さて、次の目的地へ向かう。


セナが扉を開けてくれ、中に入る。
私に気づいた人物がすかさず声をかけてきた。

「ティアナお嬢様、ご足労いただきありがとうございます。こちらにどうぞ」

応接室に案内され、ソファに腰掛ける。
セナは私の背後に姿勢よく立っている。


「早速ですが、本日は相談がありまして…こちらをご覧ください」

布が敷かれた上に宝石が5つほど並べられる。
どれも美しい輝きを放っている。

「手にとってもいいですか?」

「ええ、もちろんです」

その言葉を聞いてから手袋をした手で宝石に触れる。