夜明けが世界を染めるころ

うたた寝をしていたら懐かしい夢をみた。

ティアナお嬢様からもらったブレスレット。
チェーンはもう駄目になってしまって、今は形を変え、ピアスとして作り替えてもらった。

耳元で光るアクアマリンに、そっと指を触れる。
あの時と変わらない、澄んだ蒼。

――勇気と、希望。

そうだ。
俺は、お嬢様を守る。

何があってもだ。

12歳のあの日、俺は決めた。
彼女の力になると。
怒りと無力さしか持たなかった、あの頃の俺ではない。

今の俺は、騎士だ。

だから分かってしまう。
お嬢様が施設でのボランティア中に、危うい力を使ってしまったこと。
それが王国の目に留まれば、彼女は利用され、搾取される。

それだけは、絶対にあってはならない。

だから、ディラン殿下と話をつけた。
殿下がお嬢様に好意を抱いていることも、承知している。
……それすらも、使わせてもらう。

手段は選ばない。
お嬢様を守るためなら。

だからやはり、これ以上はだめだ。

宝石事件。
蝶の会。

これ以上深入りさせるわけにはいかない。

俺は騎士だ。
彼女を守るのが、俺の仕事だ。

……彼女がそれを望んでいないことも、分かっている。
大人しく守られるだけの、お姫様でいられない人だということも。

それでも。

何も知らず、
少しだけ世間知らずで、
危険から遠い場所にいるお姫様でいい。

彼女が、安全であるほうがいい。
それが何よりも大切だ。

――そうに、決まっている。

耳元のアクアマリンが、静かに揺れる。

あの日、彼女がくれた希望を、
俺は俺のやり方で守る。

たとえそれが、
彼女の意思と食い違うことになったとしても。