泣き虫サンタクロースの恋

「うーん……ムズいな」

「だよね。なくていいよ」

「いや、何か渡す」

「じゃあ、えっと……私も、渡すね。誕生日だし……」

この流れなら不自然じゃないはず、とマフラーを脳裏に浮かべて口にしたものの、何だかぎこちなくなってしまった。

自転車が私の家の前にピタリと止まる。

「はい、到着。てか菜緒から誕プレとか初めてじゃん〜」

「要らないなら、持ってかないけど?」

ちょっと茶化すような彼の言い方に、すぐに可愛くない返事をしてしまう自分がもはや恨めしい。

「いる。ただしチョコレートケーキ以外な」

拓斗が悪戯っ子のようにニカッと笑うのに見惚れながら、私はできるだけ素っ気なく「はいはい」と答えて拓斗に手を振った。


そして──瞬く間にクリスマス当日がやってきた。