泣き虫サンタクロースの恋

想いを伝えたら、例えどちらに転んだとしても、私たちの今の関係は終わってしまう。
そんな気がして、ずっとこの想いを胸にしまってきた。
今の、この幼なじみとしての関係のままでいい。
そう思ってきたはずなのに……。

(どうしてマフラー完成させちゃったかなぁ)

「ほら、乗れよ」

ぶっきらぼうに促されて、「捕まっても知らないからね」なんて憎まれ口をききながら自転車の後ろに横向きで座った。

ぐんっと勢いよく進みだす自転車。
体が後ろに置いていかれそうになって、慌てて拓斗の腰にしがみついた。
もこもこのダウンのポケットに手を忍ばせたら「自分だけ暖をとるな。しかも人のポケットで」と文句が飛んでくる。

(こうして、一緒に過ごせるのもあと少しなんだよね……)

私は地元の美容専門学校に、拓斗は隣県の大学への進学が決まっている。
そうなれば、もうこんな風に時間を過ごすことはできない。