私は回れ右をすると駅に向かって歩き出す。
駅までの大通りはライトアップされ、どの店先にも華やかなクリスマスツリーが飾られている。そんなキラキラした景色を見ながら私の心にはモヤがかかる。
「はぁあ。もうすぐクリスマスってことはアイツの誕生日も……」
去年編みかけてほったらかしていた、グレーのマフラーを完成させたのは一昨日のことだ。
(どうせ想いを伝える勇気も渡す勇気もないくせに……)
それでも高校生最後のクリスマス。
それも好きな人の誕生日だと思うと、なんだか気持ちがそわそわと落ち着かなくて、夜な夜な手編みの本を頼りに編み上げてしまった。
「おつかれ、菜緒」
(え?)
聞き慣れたその声に振り返ると、幼なじみのアイツ──日浦拓斗が自転車に跨ったままこちらに向かって手をあげた。
駅までの大通りはライトアップされ、どの店先にも華やかなクリスマスツリーが飾られている。そんなキラキラした景色を見ながら私の心にはモヤがかかる。
「はぁあ。もうすぐクリスマスってことはアイツの誕生日も……」
去年編みかけてほったらかしていた、グレーのマフラーを完成させたのは一昨日のことだ。
(どうせ想いを伝える勇気も渡す勇気もないくせに……)
それでも高校生最後のクリスマス。
それも好きな人の誕生日だと思うと、なんだか気持ちがそわそわと落ち着かなくて、夜な夜な手編みの本を頼りに編み上げてしまった。
「おつかれ、菜緒」
(え?)
聞き慣れたその声に振り返ると、幼なじみのアイツ──日浦拓斗が自転車に跨ったままこちらに向かって手をあげた。



