泣き虫サンタクロースの恋

「菜緒が欲しいって言ってたの思い出したのと、寒がりのくせに手袋持ってないから」

「高かったのに……ありがとう。ずっと大事にするね」

拓斗が私との些細な会話を覚えていてくれて、私のために選んでくれたと思うと胸がいっぱいで目の奥がじんと熱くなる。

うっかり涙を溢さないように、私は拓斗から手袋に視線を移すと両手でそっと包み込んだ。

「……バイトして良かったわ」

「え?」

「あー、なんもない。てかこれって手編み? 菜緒が編んだの?」

拓斗からのプレゼントがあまりにも嬉しくて、あんなに心臓をバクバクさせていたマフラーのことが頭から吹き飛んでいた。
拓斗はマフラーを繁々と見つめていて、一瞬で冷や汗が出そうになる。

「ええっと……その、手編みとか……どうかなって思ったんだけど」

「ん? どういう意味?」

「な、なんか、重くない?」

「それって気持ち、ってこと?」

拓斗の神妙な顔がこちらに向けられて、咄嗟に逸らしてから、やっぱり手編みのマフラーは失敗だったと俯いた。

「うん……ただの幼なじみなのに……困るよね。彼女できたら捨てていいから」

「…………」

沈黙が拓斗の返事のように思えて、悲しくて涙が出そうになってくる。

「菜緒……あのさ……」 

「あ、ほんと気にしないで。暇だったから編んだだけだし」

「暇って、これ結構時間かかるだろ?」

「全然っ、この菜緒さまにかかれば、三日もあればできちゃうんだから〜」