泣き虫サンタクロースの恋

「わぁ、美味しそう〜」 

「やっぱイチゴだったな」

拓斗が冷蔵庫からケーキを取り出すと、切り分けてソファーの前のガラステーブルに置く。

私はダイニングテーブルの椅子に置いていたマフラーの入った紙袋を持つと、ソファーに腰掛けた。

すぐに拓斗が飲み物を抱えて隣に座る。さっきよりも距離が近くて、いつも通りを装いたいのに鼓動が速くなる。

「先、食べよっか」

「あ、うん……そうだね」

先と言うことは拓斗もちゃんと私にプレゼントを用意してくれていると言うこと。
嬉しいけれど手編みのマフラーを渡す瞬間が刻一刻と迫っている。

「お、うまっ」 

「ん〜、今年のケーキもすっごくおいし〜」

「母さんに言っとくわ」

「うん、私からもラインしとくね」

「おう」


今年もおばさん特製の苺のケーキは絶品すぎて、話もほどほどに二人して夢中頬張る。
先に拓斗が食べ終わるとフォークを置き、立ち上がった。

「ご馳走さまでした。ちょっと取ってくるわ」

私は拓斗に頷きながら最後の一口を口に放り込むと、紙袋を手元に引き寄せた。

それと同時に拓斗も紙袋を抱えて戻ってくる。

「はい、これ例のブツ」

「ちょっと言い方」

「ほら、はやく受け取れって」

「はいはい」

長年幼なじみをやっているが、プレゼント交換なんて初めてで、なんだかくすぐったい。

ぶっきらぼうに渡された紙袋を受け取ってから、私もおずおずとマフラーの入った紙袋を差し出した。

「これ、あげる……」