泣き虫サンタクロースの恋

今日の約束が決まってからずっと、この想いを伝えようか諦めようか悩んで悩んで、結局決められないまま今日を迎えた。

今日を最後にしたくない。
これから先も、拓斗の隣にいたい。

けれど、受け入れてもらえなかったら?

それこそ、幼なじみとしての隣も失ってしまう。
どっちも怖い。

そんな葛藤を繰り返していた私に、拓斗のこの態度は予想外すぎて……。
ただでさえ不安定な私の心を大きく揺らした。

「あ、ありが、と……、やっぱりツリーあるといいね。クリスマスっぽくて気分上がる! あ、これ、うちのお母さんが作ったポテサラとノーソンのNチキ! この寒い中菜緒さまが買ってきたんだからありがたーく食べなさいよ」

「おーサンキュー! 腹減った。早速食べようぜ」

「うん!」

さっきの変な空気は消え去って、いつもの私たちに戻った。
それがほっとしたような、ちょっと残念なような……。

私は拓斗へのこの想いをどうしたらいい?

いつまでたっても決められない情けなさを胸に抱えたままテーブルにつく。

それでも、ちょうどやっていた歌の特番を観ながらチキンを食べて。
他愛のない会話で笑いあっていれば、さっきまでのモヤモヤなんて忘れてしまうくらいに、私は拓斗とのクリスマスを心から楽しんでいた。

食べきれないと思ったディナーは、気づけば二人で綺麗に平らげて、残すはケーキとプレゼントだけ。