可愛い玩具が落とした靴

「アンタはさ、浮気なんかしない男を見つけなさいよ。いい?」

正直に言うとブスな、でも心がきれいな友達に押し付けるように言う。

きっとこの子は、人の中身を見てくれる素敵な男と出会うだろう。

そして私を差し置いて、幸せになるのだ。

落としてしまった硝子の靴を、「落としましたよ」と微笑んで拾ってくれる王子様が、きっと現れる。

この子には、きっと。

「いやいや、ブスな私には彼氏なんてできないよ〜。私、選ぶ側じゃないし」

「何言ってんの、そこら辺に男なんてゴロゴロいるじゃん。私が紹介しよっか?」

「いいの。もう、諦めてるから」

困ったように友達は笑う。ブスだけど、美しいな。

だって、友達をブスだと思ってしまう私は汚い。

私をキラキラとした瞳で見つめるあなたは、美しい。

苦しい。この身体から抜け出したい。あの子になりたい。変わりたい。

私が落とした硝子の靴を拾ってくれる奴は、たくさんいる。

でも拾ってくれるのは、そこら辺のカメムシだ。臭くて汚い、気持ち悪い。

一目惚れしかされない私の前に、硝子の靴を拾ってくれる『王子様』は、いつ現れるんだろう。