妹に代わり泉に身を投げた私、湖底の街で愛を知る 〜虐げられた私が幸せを築くまで〜

 そして数日後。空の街へと向かう。
 行き方はお城の近くの広間にある凱旋門に入れば良いのだ。ひとつは火の神の加護を持つ街へ、もうひとつは空の街へと繋がっているそうだ。三人は右側にある凱旋門の前に立つ。そして先程アダン様から手渡された腕輪――装飾として緑の石が使われている――を私たちは首にかける。
 これが凱旋門に入るための許可証なのだ。

 この腕輪は該当者以外、腕へとつけられないようにする魔術が掛けられているという。腕に通した際、飾りが自動でその者の身に宿る加護を吸収するそうだ。
 セファーさん曰く加護の力に触れていると、加護がその人に合うように変質していくらしい。その些細な違いを解析して登録するのだという。そういえば私は加護がないのでは、と思ったのだけれど……加護がなければ無い、でそう登録されるらしいので問題ないとのことだ。

 詳しいことは私も分からなかったけれど、大体こんな話らしい。ちなみにセファーさんは付けなくて良いそう。魔術の奥深さに感心しながら、私たちは門へと入っていった。

 
 門に入ると光が溢れ、思わず私は目を瞑る。

「あ、デューデのところに来た子ってアナタなのね?」
 
 すると、近くからふとそんな声が聞こえたような気がした。思わず目を開けると、そこは真っ白い部屋。目の前に大あくびをしている女性が立っていた。
 私は彼女を見て、見覚えのある女性だなと思った。最近見た記憶があったのだ。どこで見たのだろう、と考え込んでいた私は閃いた。
 それと同時に相手の女性が私に声をかけてくる。
 
「私はフィーデ……よろしくね……」

 名前を聞いて、理解した。この女性は、風の女神であるフィーデ様だと言うことを。
 
「ご挨拶が遅れて申し訳ございません。私はエーヴァと申します」
「ああ……そんな堅くならなくて……いいから……」
 
 慌てて謝罪と自己紹介をすると、彼女は再度大あくびをして眠そうな表情で手を振った。

「私も……一度……見たかった……だけだし……楽しんで……」

 そう告げて手を振りながら背を向けるフィーデ様。彼女の背を見送った私は、光に包まれた。