妹に代わり泉に身を投げた私、湖底の街で愛を知る 〜虐げられた私が幸せを築くまで〜

 その後、自室で軽食をとってから、私は図書室から持ってきた本を読む。
 
 そこから初めて知ったことがいくつかあった。
 この世界には神が三柱いる。水の神ディーデ様……彼女は私が暮らしていた王国の守護神。そして他にも空の神と火の神がいるという。神様はそれぞれ加護を与えている街を持っており、ディーデ様は泉の底、空の神様は雲の上、火の神様は火山の中に天恵を与えた街があるという。
 
 この前来ていた商人のイグナスは空の街から来ていると聞いた。つまり彼は空の神様の助けで作られた街から来たのだろう。
 街の行き来は神に認められた者が持つ転移陣がある……わかりやすく言えば、首飾りのようなものらしい。それを持った者は他の神が加護を与えている街に入ることができるのだ。
 
 そして神の力によって成り立つ街は、地上の街と違って神の力が身近にあるためか、魔法の使い手が多いのだという。
 
 今日はここまでにしよう、と本をテーブルの上に積んだ。あと読んでいないのは、一番下に置かれている読みかけの本だけだ。
 私は躊躇しながらその本に手を伸ばした――その時、扉をノックする音が聞こえた。

「失礼する」

 声の主はアダン様だった。私は手を引っ込めて姿勢を正す。

「はい、どうぞ」

 そう告げると、扉を開けてアダン様が入ってきた。彼は私を見て開口一番……。

「……出かけよう」
「えっ……?」