妹に代わり泉に身を投げた私、湖底の街で愛を知る 〜虐げられた私が幸せを築くまで〜

 その一言は、不思議なくらい胸に届いた。
 彼の言葉を聞いたノアもアダン様の隣で首がもげそうになる程、上下に振っている。
 
「そうだよ! 僕もエーヴァのおかげで、今楽しいし、アダン様と話もできるようになったんだ! エーヴァがいなくなるのはやだよ!」

 ノアの一言も胸に刺さる。私でも……必要としてくれている、人が、いるんだ……と。
 
 目頭が熱くなる。
 そして頬に何かが伝ってくる。

 ――涙だった。

 私は、今、泣いていた。

 胸の奥が熱くなり、何か話そうと口を開くが声にならない。
 先ほどまで立っていたアダン様が急にベッドの横へ座る。そして私と視線を合わせたと思うと……彼は手で私の頬にある涙を拭った。

「私の隣にいてくれるだろうか?」

 その瞳は私を見据えている。
 彼の視線はいつも誠実で、真面目で……美しい。

「私はここに居てもよろしいのですか?」

 アダン様とノアに私は視線を送ると、二人は首を縦に振っている。ノアは満面の笑みで、アダン様は……普段よりも少し口角が上がっていた。
 二人の言葉が、まるで私の生を照らしているようだ。

 ――私は思った、『生きたい』と。

「ありがとう……ございます。そして申し訳ございませんでした……私も、アダン様やノアと一緒に……居たいです」
 
 二人の表情は、とても嬉しそうだ。
 
 二人は私を必要としてくれている……その事実に胸が温かくなる。
 いつまでも後ろ向きではいられない。私も前を向きたいと思った。

 胸の底に封印していた感情が、今解き放たれ――私は自身が生まれ変わったような気がした。