妹に代わり泉に身を投げた私、湖底の街で愛を知る 〜虐げられた私が幸せを築くまで〜

 そんな小さな疑念の湧いた日々が過ぎ去り、私はベッドから立てるようになっていた。
 ただ……一週間寝たきりだったので、体力は落ちてしまっているようだ。私が歩こうとすると、生まれたての子鹿のようにヨタヨタとしてしまう。倒れそうになった私はイルゼさんに支えられて事なきを得た。

「エーヴァちゃん、一週間寝ていたんだもの。いきなり歩いたら、倒れちゃうわ!」

 慌てたのか少し声を荒げたイルゼさんに、私は謝る。
 
「すみません……ちょっと身体を動かしたくて……」

 私は何をやっても駄目なのか……そう思った私は無意識に俯いていた。
 
「ああ、ごめんなさい。責めているわけではないのよ? 危ないから気をつけてね、って話なだけ。良ければ、私が支えるわ。一緒に王宮内を歩いてみる?」

 にこやかに微笑むイルゼさん。
 私は恐る恐る彼女の表情を窺う。アダン様に私の世話を依頼されている、とイルゼさんは話すけれど、彼女は私の世話以外の仕事もあるはずだ。そんなに私に関わっていいのだろうか、と心配になってきた。
 
「ですが、お仕事は……?」

 不安そうに告げる私に、イルゼさんは目をまたたく。そして私の思いを察したのか、満面の笑みを浮かべた。

「私の仕事の優先順位はエーヴァちゃんの世話よ? だから大丈夫!」
「……ありがとうございます」

 イルゼさんの曇りない笑顔。それに釣られた私は、心からの感謝を述べていた。