妹に代わり泉に身を投げた私、湖底の街で愛を知る 〜虐げられた私が幸せを築くまで〜

 エルマーさんの話を聞いてから一週間。
 明らかに書類の量が増えたことに気づく。やはりお祭りの影響なのか、各部署へと届ける予定の書類も、以前の数倍ほどの量がある。
 その上、魔道具の魔力込めが加わった。魔力が枯渇するまで入れ込むことはないけれど……普段よりも魔力の使用量が多いこともあり、少し身体に疲れが現れている気がする。
 
 仕事を終え、私は部屋に戻った。
 普段であれば寝支度を始める私だったけれど、今日はそのままベッドへと寝転がった。

 ……今日は本当に疲れた。今までで一番大変だったかもしれない。

 でも私からすれば、閉じ込められていた時の疲れとは異なる、心地の良い疲れだった。他の人の役に立っていることを実感できるからかもしれない。
 ここの人たちは本当に優しい。私が書類を持っていくと、毎回お礼を言ってくれる。そして魔力を魔道具に込めているのを見て、感謝してくれる人だっている。

 私にもできることがあるなら、助けになりたいな……って自然と思えるんだ。

 ただ、今日は……動くのも億劫である。
 少々頑張りすぎたかな、と思っていた矢先、扉を叩く音が耳に入った。私は慌てて姿勢を正し、軽く身支度を整えてから、扉を開ける。そこにいたのはアダン様だった。

「あれ、アダン様……どうされたのでしょうか?」

 仕事はもう終わっているはずだ、と首を傾げる私。

「今日、君の顔色が少し悪かったような気がしてな……良かったらこれをと思い、持ってきた」
「えっ?」

 そう言われてアダン様の後ろを覗くと……そこに置かれていたのはティーポットだった。私はポットとアダン様の顔を交互に見る。

「これは疲れに効くお茶だ。良ければ一緒に飲まないか?」
「……良いのでしょうか?」
 
 気にかけてくれたことに対する感謝と喜びが胸の奥から溢れるが、すぐに私は冷静になった。私よりもアダン様の方が疲れているはずだ。むしろアダン様は休まれたほうがいいのでは?

 そう伝えると、最初は目を白黒とさせていたアダン様だったが、少し考えて口を開いた。