妹に代わり泉に身を投げた私、湖底の街で愛を知る 〜虐げられた私が幸せを築くまで〜

 仕分けと魔道具の魔力補充の仕事にも慣れ、私は今日も各部署へと書類を渡しに向かう。最後の一通は警備隊宛である。
 この時間であれば訓練をしているだろう……と判断した私は、踵を返して訓練場へと向かう。

 訓練場が近くなると、金属と金属がぶつかり合う音が聞こえる。扉を開けて入れば部隊長であるエルマーさんが、部下の訓練を見ているところだった。
 私は邪魔をしないように静かに入る。その時、一際甲高い音が聞こえてきた。どうやら右で戦っていた男性が、相手の剣を弾き飛ばしたようだ。

「勝負あり!」

 エルマーさんの声が訓練場に響き渡り、訓練をしていた二人は下がった。そんな二人をじっと見ていた私に、エルマーさんが気がついたようだ。こちらに向けて手を振ってくる。

「一旦休憩に入る!」

 そう彼が告げると、小走りで来てくれた。私は感謝の意を込めて頭を下げる。

「訓練のお邪魔をしてしまい、申し訳ございません」
「いや、いいよ。丁度キリも良かったし……アダンからの書類だろう?」
「はい。こちらです」

 エルマーさんへ私は書類を手渡す。彼は受け取った書類にざっと一通り目を通すと、ポロリとこぼした。

「そうか、そろそろそんな時期か……」
「そんな時期、ですか?」
 
 基本私は書類の中身を見ていないので、何が書かれているのかは知らない。そのため、エルマーさんの言葉に首を傾げる。
 彼は何度か目を瞬かせたが、私の顔を見ると何やら理解したのか「ああ」と声を上げた。

「そっか、エーヴァちゃんは知らなかったよね。この街では女神デューデ様への感謝を伝えるために、一年に一度祭りを行っているんだ。女神祭と呼ばれているんだけどね、これはその警備についての書類だよ」