社会人としての疲れが滲み出ている、旭陽の手。物流部という過酷な現場で作られた、血管が浮き出る手の甲。つい何度もチラ見してしまう。
お姉ちゃんがいる時に頼んだはずのココアは、まだ最後まで飲みきれていない。糖分を摂取するよりも、もっとずっと気になっていることがあるから。
「旭陽。今、彼女とか、いるの?」
一瞬、喉がつかえてしまった。でも甘咬みはしてないから不自然ではないよね。
「いや。いないけど。」
あ。
なんで私、――――処女を取っておかなかったんだろう。
『後悔しても、無駄なんで。』
キラ君の嫌味な声が響いてきそうで、いやだ。処女を捧げたどうでもいい男のことなんて、思い出したくもない。
心と身体は比例しないように、恋とセックスも反比例だという仮説が誕生する。
私の思考、チャラいな。



