マーガレット

「では手はず通りお願いします。室内の浄化は治療が終わり次第聖神力でしますが、その為に力を残す必要はないのでまずは治療に専念してください」

 倒れない程度に、と最後に付け加えそれぞれが担当する持ち場へ移動した。

 私が担当するのは重症だと判断された方が眠る部屋。高熱のせいで意識が朦朧としている様子で、食事を取れないまま亡くなるケースが多い。

 この場を管理している教会の方も病に罹り、誰も面倒をみる事が出来なくなったため助けを求めたらしい。
 もっと早く助けを求めていたらここまでにはならなかったはずなのに。

「もう少し頑張ってください」

 一人一人聴こえていなくても声をかけ、治療して行く。
 十数名が眠っているこの部屋の扉を開けてから治療を行い、一気に部屋の中を清める、と研修で習ったのを思い出しながら丁寧に対応する。

「欲しい物はありますか?」

「み、ず」

 比較的最近この部屋に運ばれた方々はすぐに意識を取り戻し、何かを口に入れてくれる。
 その中でも子供の回復力は凄まじく、お腹が空いたと言う子までも現れた。

「食事はあっちでね?」

「この部屋出ていいの?」

「少しだけ待ってくれる? お部屋と皆を綺麗にするから」

 珍しいのか男の子はずっと私の周りをうろちょろし、お腹が空いたと言っていたにも関わらず最後の一人の治療が終わるまで静かに見ていた。

「じゃあお部屋を綺麗にしようか」

「うん! どーやってするの?」

「視えないと思うけど右手と左手に力をたっくさん込めて、綺麗になりますようにってお願いしながら両手を叩くの」

 ――パンッ。

「こうやってね」

「うわー。見て見て! 髪がサラサラ~」

 別に大げさにする必要はなかったけど、あまりにも興味を持ってくれるこの子が可愛すぎて力を込めすぎてしまった。
 寝具から壁のシミまですべてが綺麗になり、眠っている人も男の子もお風呂に入ったように綺麗になった。