マーガレット

「そう言えばお前の代の統括が妹――リリアナになったぞ。教会側も私も違う人材を立候補していたんだが、どこでどう丸め込まれたのか後になって教会側がリリアナを立候補に変え、認められた」

「あー。稀にあるお金の力ってやつですか?」

「ああ。まさか治癒も満足にできない子が統括になるだなんて。面倒なことになったよ」

 義妹のリリアナは私と違って幼い頃から聖女としての力をつけることなく、やりたい事をやって自由に生きてきた子。
 努力しても才能がなければ伸びないと本に書いてあったせいか、才能があればいつか開花するから学ばなくてもいいと遊び惚けた。

 その結果がこれだ。

 小さな切り傷なら治せても、大きな怪我は治せない。知識もないから今代の聖女としては最下位だったはずなのに。第二皇子と仲が良いからとかそっちの力が発動してしまったらしい。

「あの我が儘娘には互いに苦労させられるな」

「ははっ……。すみません」

 十四歳から教会に属すことができ、本来なら二代前に聖女として活動するつもりだったんだけど、義妹のせいで今年になった。
 両親からは義妹をサポートしろと意味分からない事を言われたし。

「だが十六歳にしてやっと半分自由を手に入れられた感想は? やはり皇宮聖女は大変か?」

「いえ。今の所何もないので平和ですね。統括の時は年下ばかりで変に緊張していましたが、今はその緊張もありません」

 周りが十四歳ばかりだったから怖がれ内容に必死だったし。
 しかし、義妹が十四歳で第二皇子が十九歳。運命の出会いと言っても第二皇子の相手としては少し義妹は若すぎないだろうか?

「はははっ! そう言えばそうだな。もし何かあったら頼ってくるといい。妹の事だろうがなんだろうが」

「ありがとうございます。頼りにしていますよ? 師匠」

「ああ。頼るといい。馬鹿弟子」

「馬鹿は余計です」

 あれだけ毎日過ごしていた師匠との時間を久しぶりに過ごした。
 懐かしくて師匠が帰った後は少しだけ寂しさを覚えてしまい、自分の部屋で犬の姿のヴァルを抱きしめながらその日は眠りについた。