カラフルハート

次の月曜日。

私は誰かにどうしてもデートを自慢したくて、昼休みに純一に声をかけた。

「純一!!土曜日のこと自慢してあげようか?」

「いい。大した話じゃないだろうし」

「わかった・・・じゃあ遠慮なく自慢するね!!」

「なんでだよ!!」

いつも以上に声を弾ませながら、意気揚々と自慢しようとしたその時だった。

「華凛」

七瀬だ〜♡

「あっごめん。自慢してあげれなくて。じゃあね」

「え?」

「七瀬の方が大事なの!!」

後ろからなんなんだよって聞こえた気がしたけど気にしない。

とういうことで七瀬と談笑タイム。

「華凛、一昨日のデート上手くいった?」

「うん!!超〜楽しかった!!Berry Flowerってパンケーキ屋さん行って・・・あっその前にお揃いのキーホルダー買ったんだった!! あとは〜遊園地行って〜ジェットコースター5回乗った!!!」

思わず最後に、えへへと笑みがこぼれた。

「華凛はほんとにジェットコースター好きだね。谷中くん酔ってないといいけど……。時間は、間に合った?」

「うん!!先に谷中くん来てたけど時間ピッタリだった!!」

「良かった。ごめんね? 私のせいでギリギリになっちゃって」

「ううん、私がああしてこうしてって言ったからだよ。七瀬は悪くない、むしろいつもありがとね!!」

「そっか、なら良かった。どういたしまして」

この何気ない、いつもの会話安心するなぁ。

そこになんと谷中くん登場!!

「華凛、今日も石井さんとおしゃべり?」

「そうだよ〜」

「華凛と石井さんって仲良いよね」

「でしょ〜。中1からクラス離れたことないんだよ〜」

「なるほどね。石井さん、華凛が言ってたけど、本当にかっこいいね」

七瀬、嬉しそう。

私でも見るのがレアなくらいの、満面の笑顔でありがとうございますって返してる。

「七瀬は行動もかっこいいから王子様なの!!」

「ずっと気になってたけど、女の子の王族はお姫様じゃ・・・?」

これだから谷中くんは、わかってないなぁ〜。

「王子様なの!!ね?七瀬?」

「えっ?あっうん。って何が?」

さすが七瀬。私がうんって答えないと納得しないのを承知でいらっしゃる。

そういうとこやっぱり親友という感じする〜。

「石井さんは王子様とお姫様どっちって話。華凛によると王子様なんだって。普通に考えるとお姫様だと思ったんだけど・・・」

「王子様だよね?七瀬?」

「華凛が王子様って言うなら、王子様なんじゃない?私もよく知らないけど」

うんうん。

やっぱり七瀬は、こういう理解力も含めて、王子様だ。

と1人で頷いてると七瀬と谷中くんがヒソヒソしている。

「なんの話?」

七瀬に聞いても内緒の一言。

「私のノリが慣れないけどいつか慣れるって話でしょ?」

「あら、大正解」

私ドヤ顔で言う。

「親友ですから!!」

その瞬間、3人の間で笑いが溢れた。
いいなぁ、こういうの。
所謂イツメンって感じで。

そんな時。

「あのぉ〜。お話し中ごめんねぇ? あたし聞きたいことあるんだけどぉ・・・いいかなぁ? 華凛ちゃん・・・」

話しかけてきたかわいい女の子。

お目目はクリクリタレ目で、目が合えば、引き寄せられてしまいそうな黒色。肌は天使の羽のごとき白さ。付けまつげをしているのかと思うほど、長い天然のまつ毛に、明るめの茶髪のボブ。

なるほど、これが天使かぁ〜。

確か・・・。

「同クラの松野愛那(まつのあいな)ちゃん!!・・・だよね?」

愛那ちゃんは学年1のアイドル的存在として有名人。

可愛いなぁ〜。背もちまちましてて、お手手もちまちま。

顔も小顔だ〜。

全部ちまちまサイズなのにお目目は程よく大きくて・・・。羨ましい。

「覚えててくれたんだぁ〜。接点あんまりないから忘れられてるかと思ったぁ〜。良かったぁ」

笑顔可愛い!!しかも制服の着崩し方オシャレ!!

いい匂いがするのは香水?

「で?華凛に話って何?」

いの一番に、首を突っ込んできたのは七瀬だった。

七瀬・・・。愛那ちゃんに話の途中で割り込まれたから不機嫌感全開だぁ。

七瀬ってこんなに低い声出せたんだぁ〜。

「あのねぇ〜・・・個人的な疑問なんだけどぉ〜」

「なら2人の時に話せばいいんじゃないかな? 今華凛僕たちで忙しい」

なぁぜか谷中くんまで突っ込んできた〜!!

そして谷中くんまでなぜ不機嫌感全開?!

「どぉしても、『今』聞きたいの〜」

「何?なんでも答えるよ〜」

「華凛ちゃんと森永先輩って付き合ってるのぉ?」

「「そんなこと?!」」

2人して突っ込まなくても・・・。

「私と純一が?!ないない!!!なんで?」

「だってぇ今も呼び捨てしてたしぃ・・・」

「幼なじみだから・・・」

苦笑気味に答えた。

「いつから一緒なのぉ?」

「気づけばずっと一緒」

「チッ。じゃあ森永先輩好きぃ? 恋愛の意味でぇ・・・」

舌打ち聞こえたような・・・。

「絶対ない!!私彼氏いるし!!」

「そっかぁ〜良かったぁ。だったら今までの質問とかどーでもいいんだけどぉ・・・あたし・・・華凛ちゃんにお願いがあるのぉ。あたし、森永先輩好きなのね? だからぁ・・・邪魔すんなよ」

え?!声どうしました?!どこから出した?!めっちゃ低っ!!

本当に愛那ちゃんから出た声ですか?!

「あ?」「は?」

こっちの七瀬と谷中くんの声も変わった〜!!

2人ともそんな声出せたんだね?!

「華凛が邪魔するって何それ?華凛は普通に過ごしてるだけでしょ?華凛があんたを困らせるようなことした?しかも仲良くないくせにお願いすること邪魔するなって何様?」

七瀬さぁ〜ん?
ブチギレ怖いですよぉ?
目の笑ってない笑顔浮かべちゃってますよ〜???
目の奥のハイライト消えてますよね?

そして、そんな七瀬に、愛那ちゃんも負けじと反論する。

「はぁ〜。だって華凛ちゃんがいると森永先輩が見てくれないの。華凛ちゃんほんとに邪魔でしかない」

ため息怖い! 声の高さが元に戻った!
言い方可愛いのに言ってることが可愛くない!

邪魔でしかないになんか♡ついてない?!

もしかして愛那ちゃんって思ってるより怖い人?

「それ・・・華凛が君より可愛いだけじゃん。自分の魅力の無さを華凛のせいにしないでもらっていいかな?」

谷中くんもなぜか反論した〜!!しかも怒ってる〜!!

優しい人が怒ると怖いってこういうことか。

てか私のために怒ってくれてる。

愛那ちゃんには申し訳ないけどちょっと嬉しい。

「は?あたしの方が可愛いに決まってんじゃん。こんなバカより何十倍も可愛いでしょ」

「うっわぁ〜・・・ぶりっ子宣言」

七瀬、谷中くんそこのうわぁハモらなくていいの。

あと顔!!
せっかくの美顔が眉間の皺と口の形で台無しだよ!!

「そんなことどうでもいい。ねえ華凛ちゃん、あたしに協力してくれるでしょ?」

「えっと・・・」

「華凛が協力しても無駄だけどね」

七瀬・・・遮らないで?

「は?」

愛那ちゃんがずっと怖いよー・・・。
何も悪い事してないはずなのに謝りそうだよ〜。

「純一くん華凛に告白してるもん」

七瀬それ人前で言って良かったの?

愛那ちゃんが黙り込んだ。

これはこれで怖い。

「華凛、森永純一くんに告られてたんだね・・・」

谷中くん寂しそう。ごめんね。

というか……あれ?

「純一のこと知ってたんだ」

「前、塾が一緒で・・・」

その頃、愛那ちゃん撃沈中。

「森永先輩は・・・こんなアホが好き?大切そうにはしてたけど・・・ありえない。ほんとに意味わかんない!!」

愛那ちゃんとてつもなく怖いこと言ってらっしゃいます。

けどその目には涙が浮かんで、今にも大粒の涙が零れ落ちそうだった。

「いい加減にしろよ。てめぇがぶりっ子だからこうなるんだろうが。純一くんのにわか追っかけが!!」

七瀬いつの時代のヤンキーですか?
あと胸ぐら掴まないの!!

てか七瀬も怖いよー!!

収拾がつかず、なんと声をかければいいかも分からず、ただただ涙目になりながら、立ち尽くすしかなかったそんな時。

「お前らよく人前で喧嘩できるな」

火に油を注ぐな純一〜!!

ん?どこから聞こえてるんだ?

声の聞こえたほぼ真上左を見るとと・・・。

「うわぁ!!! いるなら言ってよ!! 心臓止まるかと思ったよ!!てか3秒止まったよ〜」

「んなわけねぇだろ。そんなに止まったら学校の前に救急車だわアホ。その女が撃沈してたとこからはいたけどね」

愛那ちゃんをその女呼びしないの!!

「教えてくれれば良かったのに・・・」

そうだそうだ!!谷中くんもっと言ってやれ!!

「いや、その前に気づくだろ普通」

それは・・・・ごもっとも。

「え・・・石井のせいで公開告白になった」

「感謝してくれていいよ?」

「余計なお世話をありがとう」

七瀬、愛那ちゃんもうやめてぇ〜。

そんな中2人を制止する様に、純一が愛那ちゃんの前に立つ。

「ごめん。俺は何があっても華凛だけ。それは昔から変わらない。だからごめん」

愛那ちゃんは悲しい顔をした後、精一杯の泣きそうな笑みを浮かべ、分かりました、と去って行く。

「もっと優しく振ってやれば良かったのに」

そんな私の批判に純一は、これが精一杯と答える。

きっと心は全員が苦い色。そんな中、純一に、一緒帰ろう、と誘ったある日の昼休み。