拝むためだけ

 私、喜多川 波瑠(きたがわはる)!趣味はイケメンの観察&模写なんだ。

 よく変わっているって言われるけど、あんな尊い顔面を拝んで、描き写したくなっちゃうのは当たり前じゃないっ?

 そんな私は今、朝の学校のクラスでイケメン様を眺めておりマス。

 彼は喜多くんっていうんだけど、学年一の爽やかイケメンなんだ!(そして、恐れ多くも私は喜多川という苗字、一文字違いなのデス)


 そして………私の1番の推し!

 テレビで見るカッコいいアイドルの人たちも良いけどやっぱり、実物を拝むのが1番の醍醐味だから!

 ムフフと笑いながら遠くで仲よさげな男子たちと喋っている喜多くんの爽やか~な顔をノートに描き写す。

「描けたっ!」

 私は完成したイケメンの絵をかかげる。

「上出来だね~っ!」

 自画自賛しながら手元のノートを見る
 最近描き始めた人の模写。
 最初は下手だったけど、今は(勉強時間をほとんど費やしたおかげで)すっごく上手になれたんだ!

…でも最近、なんか納得いかないんだよねー。

 手が慣れてきたのか、スラスラ描けるようになったんだけど、なんだか物足りないような……?


 ……分かった!!キラキラオーラをカンペキに描きたいんだよ!


 あのまぶしいくらいに輝いているあの光を!


 …そこまで考えたところで私はグググとうなる。


「私は…どうやってあの輝きを学べばいいのだ?!」


 大声を出してしまいクラスメイトがこちらに目を向ける。

 そして、また喜多川さんかと思ったのかクラスメイトはやれやれと息をつき、話に戻っていった。


 ……ハイ、残念ながらこのようなときに声をかけてくれるほど私と仲の良い人はいないのデス。

 ザンネンムネンなわけですね…。

 私はハァとため息をつきながら手元のノードに目をおとす。

「グヌヌヌ…」

 どうしよう…。

 あ!!

「もう、こうするしかない!」


 私は席を立ち、推し様(喜多くん)の元へズカズカと歩いて行く


「喜多くん!」


「どしたの?喜多川さん?」

 私はスゥーと息を吸い、喜多くんを見据える。

「私と…付き合ってください!」

「「「「「は?」」」」」

 取り巻きの男子とと一部始終を見ていた女子からの心の声が聞こえたのであった。