「ハワイなら俺が添乗に行くときに現地で交渉してきてやるよ。
その残業覚悟の確認って、俺の添乗のだろ?
それ、今まで陽歌がやってた仕事だしカウンターの後輩に任せればいいんじゃないか?」

「そうなんだけど、今カウンターも忙しいでしょ?
時間もかかるし面倒くさい仕事だから皆嫌がっちゃってね」

ちょっと驚いた。

どちらかというと、人の嫌がる仕事を自ら請け負うタイプだとは思っていなかった。

真面目でバリバリのキャリアウーマンタイプの陽歌と違い、一見派手な亜里沙は腰掛け程度に仕事をこなしているのだと思っていた部分は否めなかった。

実際に、以前陽歌がチェックをしているのを手伝いながら、こういう仕事は苦手だと途中で根をあげていたのを知っていたからだ。

真っ先に逃げるタイプだと思っていたのに、長い付き合いでも意外に亜里沙の仕事に対する姿勢が、言葉とは裏腹であることに気づき、散々親友だと豪語しておきながら、彼女の事を解っていない自分を恥じた。