船内の照明が夜間モードに切り替わり、淡いブルーの光が静かに広がっていた。
昊はひとり、観測窓の前に浮かんでいた。
窓の外には、漆黒の宇宙と、青く輝く地球。
その光を見つめながら、昊は手元のノート端末を開いた。
画面には、シンプルなリングの設計図が表示されている。
指先で微調整を加えながら、彼は小さく呟いた。
「……帰ったら、彼女に伝えよう。今度は、ちゃんと」
その時、背後から声がかけられた。
「Hey, Kou, are you designing again? 」
(マイク・訳:おい、昊。また設計してんのか? )
マイクが、無重力の中を漂いながら昊の肩越しに覗き込む。
その後ろから、エミリーも顔を出した。
「Let me guess… is that a ring? Dude, are you actually proposing in space?!」
(マイク・訳:今度は何? って、指輪!? 宇宙でプロポーズすんのか?!)
昊は一瞬だけ手を止めて、静かに頷く。
「……Yes. But I’ll give it to her on Earth.」
(昊・訳:いや、これは地球で渡す)
「Then why are you designing it in space?」
(エミリー・訳:じゃあ、なんで宇宙で設計してるのよ?)
「Because designing in zero gravity reduces emotional bias.」
(昊・訳:重力のない環境で設計した方が、感情の影響を受けにくい)
その答えに、エミリーが思わず吹き出した。



