「君の声を聞く度に、俺は“帰る場所”を思い出します。それが、どれほど大きな意味を持つのか……今、漸く分かった気がします」
言い終えると、昊は録音を停止し、暫く無言のまま画面を見つめていた。
やがて、ふっと小さく笑う。
「……これ、惚気に聞こえるんでしょうか」
誰にともなく呟いたその声は、無重力の空間に溶けていった。
*
一方、地上のカフェ・ルミエール。
閉店後の静かな店内で結月は一人、録音データを再生していた。
昊の声が、スピーカーから静かに流れ出す。
その声はいつもより少しだけ柔らかくて、近くに感じられた。
「……君の声がないと、地球の音が思い出せない」
その一言に、思わず吹き出しそうになって、でもすぐに目頭が熱くなるのを感じた。
「……ほんと、もう……」
結月は静かに目を閉じた。
彼の声が胸の奥に甘く響く。
遠く離れているのに、こんなにも近く感じる。
それは、彼が『心』を届けてくれたからだと、結月は気づいていた。



