夜のリビングは、静かな空気に包まれていた。
窓の外には、冬の星が瞬いている。
昊は、テーブルの上に小さな箱をそっと置いた。
「結月さん、……これを、連絡手段です」
「え?」
結月が箱を開けると、中には手のひらサイズのボイスレコーダーと、小さなノートが入っていた。
「……これ、録音機?」
「はい。個人的な通信用です。衛星通信には限りがあるので。君の声を録音してくれれば、僕の端末で再生できるようになってます」
「へぇ……なんか、凄いですね。宇宙仕様?」
「いや、普通の市販品。でも、音質はかなり良い。あと、これ……」
昊はノートを指差した。
「これは?」
「“話題リスト”です。君が話す時、困らないように。テーマを幾つか書いておきました」
結月はページを捲り、思わず吹き出した。
「“最近食べた美味しかったもの” “カフェの新メニュー” “陽翔さんのどうでもいい話” “今日の空の色”……って、これ、全部……」
「君がよく話してくれた内容を、記録しておきました」
「……観察されてたんですね、私」
「ダメでしたか?」
「……いえ、大丈夫です」
結月は思わず笑みを零した。



