「えっ、JSEAに……ですか?」
ある朝、昊からの一言に、結月は思わず聞き返した。
「同僚たちが、君に会いたいと言っている。“どんな人と結婚したのか気になる”と」
「えっ、えっ、えええ……!? そ、そんな、私なんかが行っていい場所じゃ……!」
「問題ない。身分証明書は、事前に提出済み。入館許可も取ってある」
「……準備、早っ」
「僕に抜かりはありません」
「……ハハハッ」
どうリアクションしていいのか、結月は困り果ててしまった。
(類は友を呼ぶ……? 足を踏み入れていい世界なのだろうか……)
*
その数日後。
結月は、緊張でガチガチになりながら、JSEAの施設を訪れた。
案内された会議室には、昊の同僚たちが数名集まっていた。
その中に、ひと際洗練された雰囲気の女性がいた。
広報担当の香織。
にこやかな笑顔を浮かべながら、結月に近づいてくる。
「初めまして。星野さんの奥様、ですよね? 白石香織と申します」
「は、初めまして。結月と申します……」
「まぁ、可愛らしい方。奥様、さぞご立派な方なんでしょうね」
「えっ? い、いえ、私は別に……」
香織の笑顔は柔らかい。
けれど、どこか“試されている”ような圧を感じて、結月は思わず背筋を伸ばした。



