「……あの、いろいろ、ありがとうございました。着替えとか、冷却シートとか、シャーベットとか……」
「想定される不調に対し、最適解を選択しただけです」
「……最適解」
「最適化されてませんでしたか?」
「……完璧でしたよ」
「当然です」
ちょっと誇らしげに視線を持ち上げた彼。
その仕草がなんだか子どもみたいで、結月は思わず笑ってしまう。
「……あの、ひとつ聞いてもいいですか?」
「はい、どうぞ」
「その……私のこと、どう思ってます?」
昊は一瞬、瞬きをした。
そして、まるで天気予報でも読み上げるかのように、淡々と答える。
「……現在、好意的な感情が増加傾向にあります。接触頻度と共有時間の増加により、親密度が上昇していると推測されます。よって、今後の関係性の変化について、再評価が必要と考えています」
「……え、なにそれ、告白ですか?」
「事実を述べました」
「……うん、もういいや。ありがとう」
結月は顔を赤くしながら、布団に潜り込んだ。
その背中に、昊の声がふわりと届く。
「……引き続き、経過観察を行います。異常があれば、すぐに報告して下さい」
「……はい、了解です。地上支援パートナーさん」
二人の距離は、まだ“仮”のまま。
でも、確かに——少しずつ、近づいている。



